【ツイステ】続・夢の中で不思議な子どもと逢う話【男主】

赤薔薇と誘拐犯 ページ8

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side:リドル



物心着いた時から「ルール」があった。

これをしてはいけない、あれをしてはいけない、これをやりなさい、あれをやりなさい。
あなたのためなの。あなたの将来を思ってるのよ。

そうお母様が言うから、僕は真っ直ぐその「ルール」に従ってきたつもりだ。
それが正しくて幸せなはずーーーだから。

だけれど、心の中にはいつも反対のことが浮かんできた。

問題集なんてやりたくない。遊びたい。甘いものーーー中でも近くのケーキ屋さんで売っている、あのぴかぴかのいちごタルトが食べてみたい。


そんな思いを見透かされたようだった。



『リドル。お母さんとお母さんとのお約束事(ルール)だけが世界じゃない。君は君が思うより立派で出来る子だよ。』

『言いたいことを言って、やりたいことをやって、知りたいことを知って、見たいものを見る。それから笑える時に笑う。
それは凄く大切なことなんだ』



突風で外れたマスク。
その下にあったのは、いかにも痛々しい引き攣った傷跡だった。



『ありのままの姿でいられることが一番いいよ。俺はもう出来なくなってしまったから』



＊



「リドル、ああリドル…！良かった！怖かったわよね…！」

「怪我はないかい？ それにしても移動魔法を使うとは…。かなりの魔力の持ち主かもしれない。野放しにすると危険だな。
安心してくれ。あの男はすぐに捕まえるからね」


「「リドル！」」


駆け寄ってきたトレイとチェーニャ。
お母様はあの日から二人を見ると嫌な顔をする。


「大丈夫？」

「あ、ああ。特に何もされてない。家からここまで運ばれてきただけなんだ」


そう、空を飛んで花畑で話した、それだけなのだ。


警察とお母様はなにやらあの男の人のことについて色々話し合っているようだ。


「指名手配を出しましょう。子供を攫うようなやつを許しては置けません」

「お願いします！ それからうちの周りの警備も強化してください。またうちのリドルが攫われては困りますから」



また反対の気持ちが浮かんでくる。

あの人を捕まえてほしくない、って。


だって、あの人が悪い人だなんて一切思えなかったのだ。

優しい振りをしていた？
でも、僕にかけてくれた言葉の一つ一つは、今も胸の中に大きく存在している。


「あの人本当に悪い人だったのかな」


そう呟くチェーニャ。





「…僕もそう思えないんだ」


思わず出たその言葉は、紛れもない“ありのまま”の言葉だった。



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