少年と赤薔薇の庭園 ページ6
▽
「そ、空!空を飛んでる!」
「危ないからしっかり捕まってて」
どんどん小さくなっていく家々。
俺が今まで見てきた中でいちばん綺麗だった景色。
それはやはりあの絨毯が連れていってくれた夜の星空だろう。
雲の上から見る世界は見渡す限り広くて小さくて、自分の悩んでいることがまるでちっぽけに思える様な気がしたんだ。
サバンナの地平線の向こうに沈んでいく夕陽も綺麗だった。
色とりどりの珊瑚礁と沈んだ沈没船のことも、俺は忘れることが出来ないだろう。
リドルくんを大空へと連れていけば、彼もあの時の俺と同じように景色に見惚れた。
「これは……」
「世界は広いんだよ。リドル」
*
「こ、これからどこへ行くんだ」
「どこへ行こうか」
我に返ったリドルに質問に質問で答えると、リドルは困った顔をした。
しばらく空を飛んでいると、意外と近くに小さな白い花で埋め尽くされた密やかな花畑を見つけたので、俺はそこへ降り立つことにした。
「こんなところがあるなんて…」
抱えていたリドルを優しく降ろす。
降ろされたリドルは矢継ぎ早に俺に尋ねた。
「どうして僕を攫ったんだ。これから一体僕をどうするつもりなんだ…!」
「リドルに言いたいことがあってここに連れてきたんだ」
リドルの瞳が真っ直ぐにこちらを射抜く。
「リドルを見ていて放っておけなかったんだ。君が辛そうで、苦しそうで」
「…そんなことはないよ。だって全部僕のためになることなんだから。お母様は僕のためを思って言ってくれるんだ。そもそも赤の他人の君には関係ないことだろう」
怒りに染まる瞳。
俺は必死に言葉を紡いだ。
「世界は広いんだよ。俺はそれを凄く実感している。色んな人がいて、色んな世界がある。酷い人もいる。悪人だっている。」
「けど、助けてくれる誰かもいる。」
リドルは俺の話を黙って聞いている。
「リドル。お母さんとお母さんとの
「言いたいことを言って、やりたいことをやって、知りたいことを知って、見たいものを見る。それから笑える時に笑う。
それは凄く大切なことなんだ」
火事にあって、人が離れていって、理不尽なことということを受けることになって。
リドルの瞳を真っ直ぐ見て、出来なくなってからじゃ遅いんだよ、と俺は付け加えた。
。
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ババロア - とてもこの作品📒🔖が好き😻🫶💕です❣️無理せず更新🆕頑張ってください‼️ (1月2日 11時) (レス) @page19 id: 8d5fad07b1 (このIDを非表示/違反報告)
とまとじゅうす - アーーーーーーーー!!!!!!!!!!!好きーーーーーーーーーーーー!!!!(唐突な告白)続きが気になりすぎて夜しか眠れません!!更新楽しみにしてます!! (2023年4月16日 12時) (レス) @page19 id: a1abbce39e (このIDを非表示/違反報告)
乃愛(プロフ) - 初コメ失礼します!こういうの初めて見ましたけどめっちゃ好きです!夢主の愛されいいですよね!私愛され大好物なので嬉しいです!無理せずに頑張ってくださいね! (2023年3月19日 6時) (レス) @page19 id: fdc1778b4b (このIDを非表示/違反報告)
もぶ(プロフ) - この作品大好きです!何回も読ませて頂いています。更新待ってます! (2022年8月6日 17時) (レス) @page19 id: 38a56b994f (このIDを非表示/違反報告)
洸 - 上手く言えないですけど、今までにない素晴らしい作品だと思います。続きが気になって仕方ありません…。必ず読みますので、更新していただけないでしょうか。 (2022年4月28日 20時) (レス) @page19 id: 7c958e334b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:きさらぎはるか | 作成日時:2020年10月2日 19時