焦りは禁物04 ページ45
「語部…………」
「あ……ごめ、ん、ちがうの、ちがくて……」
何が違うのか、どう言ったら良いのか。A自身も、混乱していた。
「…………いや、今のは、俺が悪い」
「っ…」
すっと、焦凍が離れた。それでもうつむいてしまう。彼の顔が、まともに見られない
(なんで)
気づいてしまった。いや、気づかない方がおかしい。あんな、あけすけな好意や、独占欲を向けられて。
『嫌か？』
彼の声が、頭の中で繰り返される。
(嫌じゃない。嫌じゃないんだよ)
だから、困ってしまった。
これが友愛なのか、恋愛なのか、わからなかったから。
(わたしは、どうしたいんだろう)
少なくとも、彼と話していて楽しいと感じる。でもそれと恋愛感情が直結しているかと言われたら、よくわからなかった。
(わたしは、轟くんとどうなりたいんだろう)
もっと、深い関係に発展するのだとしたら……
「っ……」
「語部っ……！」
何も言えなくて、どうしたら良いのかもわからなくて、その場から駆け出した。
(最低だ、わたし)
誠意をもって答えられない。だからって、何も言わずに逃げ出すなんて。
(どうしたら、いいんだろう)
そして、現在。
「ふぉぉおおお……」
「どったの。Aちゃん。お昼からずっとその調子」
「お茶子ちゃん〜っ」
ぎゅうう、とお茶子に抱きつくA。お茶子は驚きながらもそれを受け止める。
「やっぱり成層圏までふっとばして……」
「あー……もしかして、轟くんとなんかあったん？」
「うぐぅ……」
図星。何も言えずに唸ると、ぽんぽんと頭を撫でられる。
「だいじょぶだよ。いや、なにあったかわからんけど、でも、Aちゃん良い子だもん。だいじょーぶだいじょーぶ」
「お茶子ちゃん大好きー！」
うららかプライスレス。
「あはは。私も大好きだよー」
優しい声に少し安心して、ようやっと、肩の力を抜く。根本的な解決には至らないけど、少し、冷静になれる気がした。
「だからさ」
「？」
にこっと、うららかにお茶子が笑う。
「2人でお話しておいでよ！」
「へ？」
「ね、轟くん」
「…………おう」
ひょこ、とのぞく白と赤。
「！？ 帰ったんじゃっ……」
みっともなく声が上ずる。戻りかけていた冷静さは、また遥か彼方にいってしまった。確かに彼はさっき、教室から出ていったはずだ。
「悪ぃな麗日」
「なんも。また困ったら言ってよ！」
「え……ええ！？」
どうやら、グルだったらしい。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 688人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
SangriA(プロフ) - 鳩ぽっぽさん» はじめましてー。知ってますよ。今はたまにログインする程度ですが(´д⊂)キャラデザが好きです。 (2019年5月16日 22時) (
レス) id: f00caaebcb (このIDを非表示/違反報告)
鳩ぽっぽ - シノアリス知ってるんですか？！(落ち着け) (2019年5月16日 19時) (レス) id: b1d6b85d01 (このIDを非表示/違反報告)
SangriA(プロフ) - フユキさん» コメありがとうございます！シノアリスいいですよね(*°∀°)シノアリスは衣装がみんな可愛いので特に好きなグレーテルにしました(^-^) (2018年9月18日 15時) (レス) id: f00caaebcb (このIDを非表示/違反報告)
フユキ(プロフ) - おっふシノアリス知ってる人だ。グレーテルソーサラー居ないけど可愛いですよね。 (2018年9月18日 11時) (レス) id: e79ac6a0b2 (このIDを非表示/違反報告)
SangriA(プロフ) - バエルさん» ご指摘ありがとうございます！わかってたんですがご都合主義でお隣にしました…。不自然ですみません。 (2018年9月17日 11時) (レス) id: f00caaebcb (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：SangriA | 作成日時：2018年9月5日 3時
