天然悲劇のヒロインなんて・・・5【稲荷崎】

初めてあった場所 ページ30

振り返れば知ってる人影


田中｢先輩！どうして泣いてるんですか！？｣


『え？あ、ホントだ』



頬に手を当てると、冷たい水が付着する
これが涙だって分かるのにはそれ程時間がかからなかった。



北｢なんか嫌なことでもあったん？｣


『嫌って言うよりも、寂しいんですよね』


紅林｢寂しい？｣


『此処が私にとっては原点みたいなモンだから、此処に来ると思い出すんです高校時代の事が』


北｢高校とか懐かしいわ｣


『ですよね、懐かしくて戻りたいなぁなんて考えてたら多分勝手に流れてきたんですよ』



思い出したら懐かしくて、キラキラした高校時代に戻りたい。部活ももっとやってたかった。


『もう、全然吹いてないから下手くそになっちゃったし、戻れるわけもないか〜』


紅林｢でも、先輩の音は何年経っても優しくて、綺麗で、強くて素敵です。｣


田中｢なんか、見た目は少し大人っぽくなりましたけど、音は高校の時みたいですね！丁寧で、強くて、１音１音に命あるみたいです！｣



命って大袈裟だよ、でもそういう風に褒められるのも嬉しいかなぁ。


紅林さんと田中ちゃんは先に戻りますねと言って私と北先輩を2人きりにしてくれた。


北｢Aは後輩から愛されてんねんな｣


『北先輩もそうですよ』


3年生になった時とか、宮侑が｢北さんが恋しいんや〜｣とか、色んな人が｢北さん｣って言葉を口にしてた。多分私よりも全然愛されてる。



北｢そうだと嬉しいんやけどね｣


『そうですよ絶対』



その後続いたのは他愛のない会話、普通に近況報告みたいな感じ、後は最近出来たお店とか、高校の懐かし話とか、この何気ない時間が私は好き。




北｢そんじゃ、合宿頑張ってな｣


『はい！北先輩もお気をつけて〜』



またね、って手を振って合宿所に戻る。
3日間の合宿は無事に終わりを迎えて私は何時ものバイト生活、それに夏休みだから全然休みの無い生活に逆戻りをした。

中間予告？です！！→←寂しい1人演奏

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