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共に帰宅した後、シャワーを浴びるというAを見送って自身の姿を隠すバンダナたちを解いていく。ギルドで約7年振りに見た少女の事や、Aの事をぼんやりと考えていれば、上がって来た彼女に、浴びてきたら?と勧められて素直にその言葉に甘えた。

「食べる?」
「嗚呼、貰う。ありがとう。…そう言えば、紋章消えたんだな」

シャワーを浴び終えてから彼女の姿を探せば、どうやらキッチンで林檎を切っていた様子。此方に気付いて尋ねて来た彼女に頷いて、ふとノースリーブで剥き出しになっていた右肩を見れば、そこにあったはずの化猫の宿の紋章は消えていた。果物ナイフが置かれたのを確認してから、紋章があった方の腕に手で触れては親指でその部分を撫でる。

目的の有る旅を…これ以上、私たちの我が儘で邪魔する事は出来ない。── 3人での旅の途中、眠る少女に自身の上着を掛けながら告げられた言葉。

ずっと連れては行けないとは思っていた。自分たちの国(エドラス)の魔力が無くなるからと他人(アースランド)から奪っていい筈が無い。アースランドを守る為に自分は此処にいるのだから。

だからこそ…彼女の言葉に、預けられそうな場所があれば、其処にと返した自分がいた。

その言葉通り、村に居た翁にふたりの事を託した。またの再会を願いながら。……今思えば、あれは廃村だったのだろうが。

同じ顔を持つ人物に会ったり、その者を知る人々を混乱させないように外見を隠す事を学び、此方の世界の生活にも慣れ、妖精の尻尾に身を置いて。

そして、何度目だっただろうか。姉妹の顔を…Aの優しい笑みを思い出していた時、 ポーリュシカさんの所で見たのは、あの頃よりも明らかに痩せて眠るAだった。

「……食べないの?」
「!」

考えている間…ずっと触れてしまっていたようで、僅かに困ったような声色で声を掛けて来た彼女にハッとする。口元に運ばれた林檎を口で受け取り、落ちないように左手を添えつつ噛めば、シャクと良い音を立てながら甘みが口に拡がった。

「…姉だと伝えないのか?」

テーブルを挟むように座ってから尋ねれば…一度、口の動きが止まる。そして飲み込めば少しだけ考える素振りを見せた後、ゆっくりと口を開いた。

「……決着を付けるまでは、何もする気は無い」

答えは、何時だって同じようなもの。

人を巻き込まないように。これは自分の問題だからと他人に話す事もしない。彼女の口から出るのは過去の事ばかりで、未来の話をした事があっただろうか? ── ずっと独りで生きて行くつもりなんだろうか。




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ゆきっき(プロフ) - いつかヴェンディが真実を知る日をずっと楽しみに待ってます! (2022年8月4日 0時) (レス) @page46 id: e77387d96a (このIDを非表示/違反報告)
天霧(プロフ) - 続き待ってます (2021年6月11日 16時) (レス) id: 8490818b21 (このIDを非表示/違反報告)
moeka(プロフ) - 最近更新がなくて寂しく思います。また近々続きの更新して下さると嬉しく思います。更新を楽しみに待ってます。 (2021年3月31日 6時) (レス) id: d61ed9781e (このIDを非表示/違反報告)
moeka(プロフ) - 最近更新がなくて寂しいです。更新して下さると嬉しいです。更新を楽しみに待ってます。 (2021年1月21日 21時) (レス) id: d61ed9781e (このIDを非表示/違反報告)
moeka(プロフ) - 最近更新がなくて寂しいです。更新してくれたら嬉しいです。返信待ってます。 (2020年7月28日 18時) (レス) id: d61ed9781e (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:紗葉 | 作成日時:2019年11月30日 19時

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