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「ミストガンの素顔にそっくりな人が居たの。…所謂、アースランドの貴方ってとこだと思う」
「! そうか」

手を伸ばして彼の曝け出された顔にそっと触れる。ミストガンの素顔を知らない星霊達からそれだけは聞いていなかったのだろう、驚いたように目を見開く彼に目を伏せる。戦いの後に自己嫌悪に陥るのはいつもの事で。

ファントムの時はギルドを守る為の行動で、戦った事への後悔はない。あるのは、もっと魔力の使用量や効率性を考えるべきであった事。

今回は言わずかもな…別人と分かっていながらも、割り切る事がちゃんと出来なかった事。そして何より、魔力を暴走させてしまった事だ。

「…A」
「!」

優しい声で名前を呼ばれて顔を上げる。そして次の瞬間にはソファから身体が浮いて。驚いていれば、くるりと半回転してソファに座った彼の、膝と膝の間に横向きに座らされた。

「…我慢しなくて良い」
「……ッ、」

ミストガンの胸に頭を預ける形で抱き締められて、その体温が温かくて思わず視界が滲む。久しぶりに見た人の死への衝撃。同じ顔の彼を救えなかった事への罪悪感。魔力に呑まれて暴走してしまった事、その暴走でまた誰かを傷付けてしまうのではないかという恐怖。

── 今、心を埋めている感情は一体何なのか。ひとりになると余計に考えてしまって、訳が分からなくなって。それに気付いていてくれたのだろうか。背中側に回していない反対の手で優しく頭を撫でてくれる彼に、涙が零れた。

怪我は癒えていたと言えど、肉体的にも精神的にも疲れていたのだろう。声も上げずに静かに泣いていた彼女は、暫くして眠りに着いていて。

こうして寝顔を眺める事は多くなったが、泣き顔自体は久々だろうかと涙の跡が残る頬を撫でる。( 何方かと言えば、妹の方が泣き虫で、それを困ったように見ているのがAだった )

風邪を引いては意味が無いと起こさないように気を付けながら、ベッドまで運び、その上にそっとタオルケット掛けて隅に腰掛ける。

「ミストガン」
「! 君は、確か…Aの星霊の…」
「フェニックス。今回、Aが関わった騒動について手短に話すから黙って聞いてくれ。 ──…」
「! そんな事が。…然し、どうして態々?」
「あんただけだろ、彼奴の事を分かってやれてるのは」


伝えてくれた彼とのやり取りを思い出しながら…彼女が悪夢を見る事が無いように、夢では笑えているようにと髪を撫でる。

── あわよくばその夢に自分が居れば良いと思うのは、欲張りだろうか。




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ムーン(プロフ) - とてもこの作品が好きです!更新頑張ってください! (2019年10月2日 23時) (レス) id: dbcb69aa60 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:紗葉 | 作者ホームページ:https://mobile.twitter.com/F0OOQB  
作成日時:2019年6月25日 16時

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