FAIRY TAIL - 蒼穹の巫女 - 02 (ページ20)

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「イヤァァアアアァァアァ！！！」

エルザの腕の中で微笑み、そして肢体から力が抜けたシモン。Aは治癒に力を入れるものの、こうなってしまっては無意味だった。エルザの悲痛な叫びが塔の中に響く。それは余りにも辛い、悲し過ぎる死だった。

「くだらん！！実にくだらんよ！！そういうのを無駄死って言うんだぜ！！！シィモォォーン！！」

ジェラールの馬鹿にしたような高笑いと、エルザの悲痛な叫び。その両者を聞きながら、Aはホルダーへと伸ばして鍵を取ると、人型の状態で玄武を喚び出した。

「！……これは」

召喚された玄武は、目の前の状況に思わず言葉を失う。そして喚び出した主へと目を向ければ、ボロボロの姿にも驚いたのも束の間、彼女が身体を震わせている事に気付く。それが怒りなのか、悲しみから来るものなのか…玄武にも勿論、Aにも分からなかった。

「……玄武、彼を連れて先に塔を出て」
「A…？」
「此処に放ったらかしじゃ可哀想でしょう。……終わったら、敬意を込めてお墓を作ろう」

玄武に出した指示に戸惑ったのは涙を流していたエルザで。優しい笑みでそう口したAに、エルザは涙を拭って頷いた。

「対局は変わらん！！どの道、誰も生きてこの塔からは出られんのだからなァ！！！」
「黙れぇぇ！！」
「ごはァ……！」

「ナツ…何、やって…」

シモンを抱えた玄武を見送って、Aはぐっと身体に力を入れて立ち上がる。その時、彼女が殴り掛かるよりも先に飛び出して行った影…それはナツで。そしてバキとこの場には似合わない咀嚼音。その主である彼の手には魔水晶があった。

「何て馬鹿な事を！！！エーテルナノには炎以外の属性も融合されているんだぞ！！！」
「( 強力な〝魔力〟を〝炎〟の代わりに喰えば、パワーアップするとでも思ったか！？その短絡的な考えが自滅をもたらした )」

苦しみながら地面を転がってまで藻掻くナツに、エルザが叫ぶ。炎とは違う属性を喰らえば、ナツにとってそれは〝毒〟でしかないのだ。余りにも苦しそうに呻くナツにAが近付こうと一歩踏み出し、勝利を確信したようにジェラールが笑みを見せた時 ──

「ナツ！！」
「……ッ、ドラゴン？」

彼から溢れた炎。それは翼を広げた竜のようで。

「お前が居るからァァ…エルザは涙を流すんだァァ！！！」

エーテリオンの魔力を物にしたナツは一気にジェラールの胸元へと飛び込み、首元を掴んでは、そのまま塔の床を破壊しながら下へと落ちて行く。

「オレは約束したんだ……約束したんだぁあぁっ！！！！」

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