40 ページ45
｢あ〜！！！もうムカつく〜〜！！！｣
走り去る黒田に当然俺は怒りをぶつける。
聞こえているのかきこえていないのか、彼は振り返ることすらしなかったが。
「春さん！！貴方もあんな律儀に言うこと聞かなくてもいいじゃないですか！！あいつどうせ録に約束も守らないんだから！」
少々感情任せではあったものの、春さんにそう伝えると俺の勢いに気圧されてしまっていた。
｢わ、悪い。でもあいつ、約束は破らないと思う…｣
いつもの堂々とした姿は何処へ。
困惑気味なせいか、その言葉は頼りなく、語尾につれてだんだん消えてゆく。
「あの男とキスしたら妊娠するんで、気をつけてくださいね！」
肩を掴み、無理やり頷かせる。
心苦しいが、これも自衛のためだ。
もっとそのガバガバな貞操観念を何とかしてもらいたいものである。
長いように感じた登校時間も終わり、春さんと別れ教室へと向かう。
「おはよ」
席へと着けば、いつも通り声をかけてくれるなみちゃん。
彼の気持ちを知ってしまったあの日から、俺はなんとなく気まずい。
そんなことも露知らず、いつも通り話しかけてくる彼。
いままで通りがいいといえども、なかなかそうはいかない訳で。
やっぱり少し挙動不審気味な俺に違和感を感じたようだ。
なみちゃんは一瞬だけ、ん？と怪訝そうな顔をしたあと、問うてきた。
「まさかお前…」
「え、え、ええっ？なっなに？」
やばい馬鹿みたいに声が震えた。
もう既になみちゃんの気持ちに気付いているとバレたか？
「まさかお前、赤点でも取りそうなんじゃ…」
「そっちかよ！！！」
思わず突っ込んでしまった。
いやまあ違くはないんだけど。
「しゃーないな。学年一位の俺が勉強教えてあげるから、テストは安心しろ」
はあ、と呆れ気味にため息をついて笑った彼。
若干ドヤ顔で腹立つ。
だが反論できない。
なんせなみちゃんは素行不良のくせに学年一位の学力なのだ。
彼曰く、家で勉強するから授業は聞く必要がないそう。いやマジ腹立つな。
「お願いします……」
だがそれに反して学力が最底辺の俺は、彼に頼るしかなかった。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 48人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「創作」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
Td(プロフ) - ともえさん» ありがとうございます。検討致します (2018年12月17日 19時) (
レス) id: 7b29245002 (このIDを非表示/違反報告)
Td(プロフ) - ミオさん» こちらこそありがとうございました。検討します。 (2018年12月17日 19時) (レス) id: 7b29245002 (このIDを非表示/違反報告)
ともえ(プロフ) - 面白かったです！続編希望です！ (2018年12月17日 8時) (レス) id: 3030554e8b (このIDを非表示/違反報告)
ミオ(プロフ) - 面白かったです！ありがとうございました！続編希望です！ (2018年12月17日 2時) (レス) id: f13eb61b67 (このIDを非表示/違反報告)
怠惰(プロフ) - 油菜さん» コメントありがとうございます！そう言ってもらえて嬉しいです！ (2018年3月8日 6時) (レス) id: 49a9a48379 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
