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結局彼の言う“秋ちゃん”の正体はわからずじまい。
彼は再び眠った後、暫くしても起きる気配はなかったため寝室に連れて行くことにした。
きっと、いつも忙しいため疲れているのだろう。
抱き締められているこの体制から抜けるのはだいぶ惜しいが、ソファーで寝ていると体を冷やしてしまう。
俺みたいにインフルになると困るため、彼の腕の中から抜けて抱き上げる。
ちゃっかり姫抱きをしたのだが、当然天使のように軽い。
……というか軽すぎないか？
ちらりと眠る彼を見れば、細い腕に全体的に華奢な身体が目立つ。
だがそれは、お世辞にも健康的な身体とは言えない。
夕食の時もあまり食事を取らないようだったし、もしかして小食なのだろうか。それもかなりの。
うーん、と考えつつ、明日の朝たくさん食べさせようという結論に至った。
そして彼をベッドに寝かせ、布団を掛けてやる。
なんだか外の雨音が俺達を隔離しているようだった。
俺のベッドで眠る彼を見れば、またふつふつと俺の心に好きだという気持ちが溢れ出てくる。
なんて愛おしいんだろう。
それでいて脆くて消え入りそうで綺麗で…
無防備すぎる彼は少し危うい。
普通好意を寄せている相手に隙を見せるか？
襲われるとも思われていないのだろうか。
これは何度も思ったことだ。
好きな人に意識されないのは辛い。
だがそんなマイペースで鈍い所も愛おしく思えてしまうのだから、恋とは不思議なものである。
「ずるい人だなぁ…」
思わずそんな言葉がこぼれた。
彼の隣に横たわり、相変わらず人形のように無機質な寝顔を眺める。
もし彼に彼女がいたとしても、俺は諦められる自信がない。
どうしても彼を手に入れたいから。
例え誰だろうが蹴落とす覚悟だ。
俺は自分でも何をしでかすかわからない。だから怖かった。
それが彼の幸せでなくとも、俺は彼が欲しい。
「好きです…好きですよ、春さん」
小さく告げたこの言葉は、はたしていつ彼に届くのだろうか。
もしかすれば、案外その時はすぐにくるかもしれない。
今起きていてくれたのならどんなに良いか…なんて。
そう思うとぎゅう、と胸が強く締め付けられる。
その日の夜は、なんだか苦しくて切なかった。
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Td(プロフ) - ともえさん» ありがとうございます。検討致します (2018年12月17日 19時) (
レス) id: 7b29245002 (このIDを非表示/違反報告)
Td(プロフ) - ミオさん» こちらこそありがとうございました。検討します。 (2018年12月17日 19時) (レス) id: 7b29245002 (このIDを非表示/違反報告)
ともえ(プロフ) - 面白かったです！続編希望です！ (2018年12月17日 8時) (レス) id: 3030554e8b (このIDを非表示/違反報告)
ミオ(プロフ) - 面白かったです！ありがとうございました！続編希望です！ (2018年12月17日 2時) (レス) id: f13eb61b67 (このIDを非表示/違反報告)
怠惰(プロフ) - 油菜さん» コメントありがとうございます！そう言ってもらえて嬉しいです！ (2018年3月8日 6時) (レス) id: 49a9a48379 (このIDを非表示/違反報告)
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