この薄汚れた世界の中で

#22 策士 ページ45

人通りの少ない路地を抜け､目的のカフェに向かう


隣には珍しく鼻歌なんて歌ってる間島さん｡
『なんか､新鮮ですね』
間島｢〜♪……?何が?｣
『普段､間島さんと2人っきりなんて中々無いでしょう?だから､嬉しいなって』

そう言って笑うと､間島さんが足を止めた｡
『どうしました?……おわっ?!』
足をすくわれ､バランスを崩した所を
壁に押し付けられる｡


間島｢Aはさ､警戒心ってものが無い訳?｣

距離5センチのところに間島さんの顔｡
普段見えないような皺や黒子なんかも見える｡……あ､意外と睫毛長いんだな｡


間島｢聞いてる?｣
『え､あ､DABA相手に要ります?』
間島｢要るから言ってるんでしょ｡警戒しないから櫻井さんにだってあんな事されて……｣



＿＿＿＿何でそれを知ってる｡






私の表情から読み取ったのか､
間島｢……俺､扉に近かったから｡あのね､少しは気をつけなきゃ駄目だよ?男は皆オオカミなんだから｡
たとえお前がそう思っていなくても｡分かった?｣

コクコクと頷くと､にっこりと微笑み
＿＿＿＿薄い唇を私の鎖骨に押し当てた｡

『ぁ……いたっ!』
間島｢ぷは､上手くついた｣
鮮やかに色づく私の首元｡

『間島さんのバカ｡やだもうかえる』
間島｢えー?俺"気をつけろ"って言ったじゃん｡それに､"俺は違う"なんて言ってないし?｣
確かに間違ってない｡間違ってないけども｡

間島｢それに､いいの?ケーキ♡｣
『……行きます』



クソ､やっぱり食べ物には逆らえない…!!



間島｢はは､やっぱAは甘過ぎるよ…
ま､そういう所も落とし甲斐があっていいけど｣
『何か言いました?』
間島｢なんも｡さ､行こう?｣






意外と策士で､裏をかくのが上手い間島さん｡
今日のところは白旗を上げるしか無さそうだ｡

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