にじゅうしち。躙り死地に赴く。 ページ28
初夏の日差しが容赦なくぶん殴っている今日この頃。気温の上昇に伴って各教室に設置されたクーラーの稼働も始まり、凡その人が快適生活を送っている白鳥沢学園。ただし一部を除いて。
その一部にもちろん私も含まれている。
｢やばい手ガックガク｣
｢大丈夫、じゃないよねぇその感じは｣
｢えぇ、そんなに震えるほど寒い？｣
｢いやこいつキメてるだけだろ。なんで学校来てンの｣
｢クーラー寒い勢はオンリー私だな。あー、Aさんはとっとと保健室行きな｣
｢そうする……｣
ツミッターの裏アカのほうで繋がっているクラスメイトがこちらの異変に気づくなり保健室へと追いやる。変な寒気と震えが止まらないなー。廊下のほうが暑いはずなのに教室より寒いのはなんでだろうなー。
キメたからだよ。
なんでキメたんだよこんなテスト直前に。
というのも実は一昨日、『断薬できたら言うこと聞いてやる』と何度目かも分からないアメムチ文句が送られてきたんだ。それで考えた。
なぜ私が断薬しきれないのか。薬を手元に残しておくからだ。
なぜ今までこの可能性に思い至らなかったのか、我ながら天才的に馬鹿である。
しかし今回はちゃんと思いついたので、意志が変わらないうちに薬を全部捨てた。ちょうど金欠なので暫く再購入もできない。完璧だ。
だけどほら、もったいないなとも思ったというか、いざ目にするとやりたくなるというか。結果として捨てる前にちょっとキメた。いやだいぶキメた。おかげで今離脱症状が出てとんでもない状態。やはり私は天才的に馬鹿である。
｢失礼します……｣
鍵が空いているのに中はがらんどうだ。張り紙を見てみると、保健の先生は教師の健康診断か何かで午前中不在らしい。なるほど好都合だ。
私の特等席である1番左のベッド周りのカーテンを閉めて厚手の布団に潜り込む。悪寒と気持ち悪さに耐えながら隠し持ってきたスマホで各SNSをダラダラと眺めていると、だんだんと眠気が襲ってきた。
3時間目開始のチャイムの音をよそに、心地良さにまかせてそのまますやり。
----
｢あっつ！？なにこれ｣
3時間目の終わり、体育で盛大にすっ転んで広範囲を擦りむいた俺は、念の為と先生に押されて保健室へと足を運んだ。
初夏とはいえ気温は高く、かつ非常に日当たりの良いそこは、控えめに言って灼熱地獄だった。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 624人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「ハイキュー」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
黒瀬 - 読んでめちゃめちゃハマりました！更新楽しみにしています！頑張ってください！！ (2020年4月8日 19時) (
レス) id: c0f0417cc9 (このIDを非表示/違反報告)
noara(プロフ) - あっすこです…ろくろ首で待ってます！更新お疲れ様です！ (2020年3月24日 22時) (レス) id: c5bfb6cb88 (このIDを非表示/違反報告)
レイカ(プロフ) - ヤバイ好きです！メンヘラはじめてでちょっとだけのぞく気でいたらどハマりました！！更新頑張ってください！！！ (2020年3月19日 18時) (レス) id: 2f295bf970 (このIDを非表示/違反報告)
霧華 - メンヘラすきです…続き気長に待ってます(ﾟーﾟ*) (2020年3月4日 11時) (レス) id: daf330d400 (このIDを非表示/違反報告)
いちご - ちゅきです (2020年3月3日 9時) (レス) id: 7f42fd7b15 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
