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深澤side
俺は馬鹿だ。Aの｢慰めて｣の言葉の意味なんてひとつしか知らない。
...いや、馬鹿じゃないからその意味が分かったのかもしれない。
深｢...お前さ、それ意味わかって言ってんの？｣
黙って頷くA。
だってお前は翔太が好きで。
それに目黒と付き合っていて...。
...違う。こいつはそういう奴だった。
自分が寂しけりゃ誰にだって縋り付く。
中学の時、急に荒れ始めたA。
思えばあの頃から翔太への恋心に気づき始めたのだろう。
翔太に対して本気になりすぎたAは、関係を壊すのが怖くて本人に想いを伝えることが出来なかった。
その代わりに周りの男と遊んではそのストレスを発散していた。
俺はあの頃のAが正直嫌いだった。
...目黒と付き合い始めてから無くなったと思っていたんだけどな。
ずっと黙っていた俺を見て不安になったのか、涙目でこっちを見るA。
...あー、もう無理だ。
｢...ごめん、やっぱ、｣
Aの言葉を最後まで聞くことなく手を引いて歩き出す。
深｢...知らねえからな。｣
...言い出したのはAの方だ。
それなら俺も利用してやる...。
深｢...入っていいよ。｣
そのまま自分の家に招き入れる
｢お邪魔します...｣
Aを家にあげるなんて初めてじゃない。
なのに緊張して落ち着かない。
深｢明日休みだし、今日泊まっていきな｣
｢...でもそこまでお世話になるわけには、｣
深｢今のお前をひとりにはできねえよ｣
誰もいないところでAがひとりで泣くのなんて嫌に決まってる。
深｢とりあえず風呂入ってこい｣
自分のTシャツとハーフパンツを手渡した。
Aが風呂に入ってる間に部屋着に着替える。
ひとりになってまた思い出すAの言葉。
...ほんとにいいのか？
いや、でもAが言ってきたんだ。
でも彼女を傷つけることになるかもしれない...。
しかも彼女には目黒がいて...。
深｢...はぁ｣
考えることに疲れて思わずため息が漏れる。
机に置いたスマホが光った。
翔太俺、Aのこと傷つけたかも。
...タイムリーだな。
深｢...ほんとにこいつ何したんだよ。｣
深澤辰哉お前まじで何したの?
深澤辰哉てかまずひとりで帰すなよ。危ねぇだろ。
すぐにつく既読。
翔太の返事を待つ間、ドライヤーをとりにいって体をソファに沈める。
またスマホをみる。
深｢...まじかよ｣
思いがけない言葉に思わず呟く。
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作者名：なあや。
| 作成日時：2020年5月24日 2時
