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深澤side
深｢お先失礼します！｣
『はーい、おつかれ〜』
バイトを終えて先輩に声をかけて外に出る。
すっかり日も暮れて辺りは暗い。
深｢...うちの制服じゃん｣
前のほうを歩く同じ高校の制服を着た女の子。
こんな時間に女子高生ひとりとか、危ねぇだろ。
追いついて声をかけようと足を早めた。
角を曲がり、人気のない道に出る。
そこに佇む見覚えのある後ろ姿。
今日は翔太と遊んだんじゃねえのかよ。
なんでひとりで帰ってるんだよ。
深｢...おい何やってんだよ。｣
掴んだ肩が揺れる。
｢...ふっか。｣
ゆっくりと振り向いたA。
深｢翔太は？って...｣
｢...は？お前泣いたの？｣
彼女の頬には涙の跡が残る。
彼女を落ち着かせるために目線を合わせる。
深｢...何があった？｣
そう言うと彼女の目から一滴の涙がこぼれる。
｢...ふっか。｣
深｢ん？｣
｢....全部....終わっちゃった.....｣
堰を切ったように泣き出すA。
俺は彼女を抱きしめることしか出来なかった。
なあ、翔太。
何泣かしてるんだよ。
Aはお前のことずっと見てたんだぞ？
お前だってAのこと...
........俺が割り込む隙作ってんじゃねえよ。
...お前らの邪魔になんてなりたくねえんだよ。
それから何分経っただろうか。
呼吸が静かになったAに声をかける。
深｢...落ち着いた？｣
頷いて顔を上げるA。
泣き腫らして真っ赤になった目でこちらを見る。
深｢ははっ、ひっでえ顔。｣
本当はそんな顔でさえ可愛くて仕方がない。
｢ごめん、制服濡らしちゃった...｣
深｢んなの気にすんなって｣
こんな状況でも人の心配。
Aはたしかに性格が歪んでいる。
でもそれは恋愛が絡んだ時だけ。
根はいい奴だし、なんならそこら辺のやつより優しい。
...にしても、ここまでAが取り乱すなんて。
翔太はなにをしたんだ？
なんて考えてると、彼女が遠慮がちに口を開いた。
｢...ねえふっか｣
悲しそうに笑うA。
...嫌な予感がした。
｢慰めてよ｣
深｢...は？｣
その一瞬、時間が止まったような気がした。
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作者名：なあや。
| 作成日時：2020年5月24日 2時
