愛されたい。【青】 (ページ4)

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目黒side

目｢...A、どうした？｣

昼休みの屋上。
箸を片手にぼーっとしているAに声をかける。

はっと気がついた様子でこちらを見るA。
目が合うがすぐ逸らされて俯く。

｢...ああ。ちょっと思い出してた。｣
｢蓮と付き合った頃のこと｣

思わず動きを止める。
動揺を悟られないようにまた弁当に目線を移した。

目｢...あー、あん時ね。懐かしいな｣

あの時は必死だった。
Aに一目惚れしてからずっと追いかけていた。
でも彼女の視線の先にいるのは違う男で...。

嫉妬が爆発して彼女に告白をしたが、やはり断られた。
こんな所で終わらせたくない。その一心で彼女に提案したのは｢翔太くんの代わり｣。

ほんとは屈辱的だった。
代わりなんて嫌だ。俺を見てほしい。
けれど彼女を繋ぎ止めるにはこうするしかなかった。

目｢俺さ、Aに代わりでいいなんて言ったけど、実は...｣

''代わりなんかじゃ満足できないんだよね。''

そう続くはずの俺の言葉はドアが開く音によって遮られた。
本っ当にタイミング悪い。

深｢あ、A。これで合ってるよね？｣

ほんとうに気が利く大人なふっかさんが羨ましくて仕方がない。
俺も大人ぶってかっこつけてみるけど、俺には余裕がない。

渡｢えー、いいなぁ。A、ひとくちだけ。｣

Aに絡みにいく翔太くん。冷静でいようとしても、やはり嫉妬が渦巻く。

｢だめ、ふっかに貰ったの。｣

渡｢えー、...けち。｣

2人を無言で見つめていると、Aと目が合った。

｢蓮、続きいいよ。実はなに？｣

翔太くんが隣にいても、Aはちゃんと俺のことも気遣ってくれる。
...やっぱり好きだな。

目｢...あー、大丈夫。くだらないこと。｣

そんな彼女を困らせたくなくて続きは言えなかった。
でも、ちょっとぐらいは許して？
Aの後ろに座ってお腹に腕を回す。

目｢翔太くんだめ、Aは俺のだから。｣

ねえ、A？ごめんね。

Aは俺の彼女だって、翔太くんに分からせれば
翔太くんはAのことを恋愛対象として見ないって。
Aはずっと俺のところにいてくれるんじゃないかって。

そんなずるいこと考えてるんだ。

汚いやり方でしか俺は翔太くんに勝てないから。
苦しめてごめんね。

見せつけんな、なんて言って立ち上がって傍を離れる翔太くん。
それを目で追うA。

...こんなにそばに居ても、やはり彼女の目に俺は映っていなかった。