[Elext City] Ⅱ (ページ7)

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松村「…バグ、感染しちゃってるね、樹、」
Juri「……ごめんね」
松村「…でも、樹が泣いているのは、きっとバグの所為じゃないよ。…樹は、おかしくなんか、なってないから」
Juri「…」
松村「…ごめんね、ちゃんと、バグは…取り除く、から」

プログラムに潜んでいるバグを取り除いている間も、松村は自分が間違った事をしているような気がしてならなかった。
取り除く、だなんて、Juriの間違っていない感情を強制的に弾いているような気がして。
…いっその事、バグの防護のセキュリティなんて掛けないで、自分もJuriと一緒に感染してしまえばよかった。

松村「…終わった、よ」
Juri「北斗…？」
涙の止まったJuriを見て、これが正常だなんてどうしても思えない松村は、俯いたまま心配そうにこちらを見る彼にまた「ごめん」と呟く。

松村「…本当は、あの時に全部、終わってたのに」
Juri「北斗」
松村「俺が、…おれが、受け入れられなかった、から、」
Juri「俺たちは北斗に感謝してるんだよ」
松村「でも、その所為で今、…っ、」
もう何を言っているのかわからなくなってきた。
視界が滲んでくる。もしかしたら現実でも今泣いているのかな、なんて。

夢なんて所詮長くは続かない。
それならいっそ、全部終わらせて、みんなで痛み分けして終わろうか。
終わりを受け入れなかった自分が、終わりを受け入れる為に。
そうしたら、みんな赦してくれる？
こんな、救いようのない夢のような罪を犯した自分を。

Juriはもうそれ以上は何も言わなかった。
ただ何も言えずにしゃがんで俯く松村の頭を、ずっと励ますように撫でていた。