メンズルール(倉安BL) 前編

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柚希に声をかけ急いで追いかけるも、生憎章 大は個室に入った後やった。

仕方なくその前で待つ。
知らん人が見たらただのトイレ待ちの人やんな、これ。


「おわっ…えぇ〜…」

出てきた章 大は目を丸くして俺を見る。
えぇって、そんなに俺がおったらあかんのか。
俺がお前待ってたら何か不都合でもあんの。

「酔ったとか嘘やんな？」

そう鎌をかければ一瞬押し黙ってから、「体調悪い時かてあるやん？」なんて言い訳する。

あんなご機嫌やったくせに何言うとんねん。
見え見えの嘘にどうしても苛立ちが募って、ついつい口調に棘が混ざる。

「悪かったん？そんな感じせえへんかってんけど」
「…うん、悪いよ」

章 大の表情に思わず唾を飲んで、そのまま、それ以上何も言えなくなった。

またこんな苦しそうな顔させた。
俺…今日は何間違った？

「悪いから…先帰る」

章 大が俺の横をすり抜けていった。
今思えば、あの瞬間のあの感じは予知夢みたいなもんやったのかもしれへん。夢ちゃうけど。


そのまま席に戻ったけど

「…先輩？聞いてます？」
「へ？あ、ごめん…何やったっけ」

酔えへん上に集中も切れてきた。
もう今日はそういう日やねんなぁ…。

いや違う。

そういう日とかやなくて、それよりも。

はよ章 大に会いたい。
会って…さっきの、ちゃんと聞きたい。

その後すぐに二次会の話が出たけど、俺は行かない旨を伝えて、お金だけ置いて早々と店を出た。

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