メンズルール(倉安BL) 前編

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「はいおーくら、誕生日おめでとう」

いやムードよ…
せめてこんな時くらい名前呼びでもと思いつつ、外ではやめろって言い出したんは俺やから今更言う訳にもいかない。

「わ、ありがとう、開けてええ？」
「どうぞどうぞ〜」
「…お！ネックレスやん！ええなこれ」

章 大がくれたネックレスは俺の趣味にも合っている。さすがやな。
章 大は悪戯っぽく笑う。

「首輪やでぇ、おーくらが他の誰かに尻尾振らんように」
「犬みたいに言うなや‪w
そう簡単に離れていかへんから」

そう言って頭をポンポンと叩く。
俺そんなに信用ないんかなぁ。

今日はこの後学科のたて飲みがある。

「酔って忠義〜とか呼んだらあかんで！」なんて言うたけど、どっちかと言えば気をつけなあかんのは心の中ではいっつも章 大って呼んでる俺の方。

…それに、ほんまはちょっとフリのつもりでもある。
やってこいつ、自分で気ぃついてへんけどそこそこモテるもん。

不安…は、あんまりないけど
やっぱりこういう出会いの時期は、それなりに心配にはなる。


放課後、早速ネックレスを付ければ、目に見えてご機嫌になる章 大。

飲み屋に行く道すがら、手を握ってきたから、反射的に握り返す。
最近はあまり人目も気にしなくなってきた。むしろ気にしてるのは奴の方。

人目のないような道ではそっと距離を詰めてくるくせに
大通りに出ると俺を窺うように見てくる。

「そろそろ離す？」
「…あ、うん」

俺に気使ってんねやろけど、そういう所がいじらしくもあり、少し寂しくもある。

温もりが離れるのが何か惜しくて、一瞬章 大の手が離れるのを待った。


飲み屋の前にはもう数人来とった。

元親友の立ち位置はこういう時便利で、隣に居ても疑われもしない。
それより気になるのは。

…さっきから一年生っぽい女子数人のグループが、チラチラこっちを見てる。
俺の方も見てるけど、何人かは章 大の方も見てる。

こいつのこと狙っても無駄やからな。
こいつ男が、俺が好きやねんから。

そんな風に心の中で言うけど、どこかやっぱりイライラして。

そんな時


「遅れて申し訳ありません！！」


走ってきた女の子。
顔を上げて笑ってから、ふと俺と目が合った。

あれ、この子もしかして。

「え、もしかして…たぁ兄？」

あぁ。
帰国子女ってお前やったんか。

目の前にいたのは、もう会うこともないと思っていた幼馴染。

「…柚希？」

驚きで一瞬、イラつきが頭から飛んだ。

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