メンズルール(倉安BL) 前編

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「へ？」

驚いてる。いやそら驚くよな。
俺、今までこんなん言ったことないのに。

「どうしたん急に‪w」
「ええから」

ごめん、からかってる訳でも揺さぶりたい訳でもないねん。


自分では言えない場合、じゃあ何が一番手っ取り早いかって、現場を見ることやと思うけど

一緒にいるだけやったら、今まで通りただの親友やと思われかねないから
キスの現場見せたら流石に考えも変わるかと思った。
男友達でキスなんてよおせえへんやろ。

でもこれをどう説明したもんか。
…やって利用してんのかって言われたら、俺の中ではそれもどこか違うねんもん。

「忠義くーん！」

美香の声が聞こえる。
やば、と思った。
はよ頼むってヤスぅ…。

ヤスは一つ息を吐いて俺の浴衣の襟を掴む。
来る、と思ってぎゅっと目を瞑った。

けど、その感触はすぐには来なかった。

「したいん？」
「え？」

目を開けると、爪先立ちしたヤスの顔がすぐそこにあって、
心臓が一気にうるさくなった。


「おーくらはしたいん？」


俺は…ヤスとキスしたいん？
この方法思いついたんも、もしかして、こうなることを望んでたん？

「おーくら、ちゃんと言うて？」

…いや、考えてる場合ちゃうよな、今は。
少し逡巡して、でもしっかりと目を見て答えた。

キスしてほしい。

今、ここで。

「…して、欲しい」


重ねられた唇は熱かった。
舌を絡められて息が漏れる。

ゆっくりと離れて
熱っぽい目で見つめられて興奮が高まったのも一瞬

「あ！あの、もしかして、今日一緒に行こう言うたの」

いや待て、それは絶対話長なるやつ。
今は忘れさせてくれ。

「黙って」

皆まで聞く前に思わず唇を重ねた。
したい、って思った。
もっともっと味わいたい。

夢中になって、さっきよりもっと深くまで。

俺にされるがまま、ぎゅっと目を瞑るヤスが、どうしようもなく愛おしかった。

離れれば、ヤスはぎゅっと首元に抱きついた。
耳元で低く囁く。

「…あとでたっぷり話聞かせてもらうで」

…ですよね……………。

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