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参拾捌話 ページ23

ーA視点ー

『………………兄さん…?』

そう呼び掛けてもいつものように兄さんの優しい返事が聞こえない。

『…………嘘でしょ…?嫌だよ…兄さん…!母さんみたいにいなくならないでよ…!いつものように私の名前を言ってよ!!死なないでよ!!一緒に暮らそうって約束したじゃん!!私を置いて逝かないでよ!!兄さんっ!!ねぇ!!!』

いくら私が叫んでもそこにいる亡骸(兄さん)には届かない。

『兄さんっ…!兄さん…!起きてよ…!』

 ガチャンッ!!

『!?』

誰か、来た。

でも…人間…?

化物だ。

化物「ヴヴヴゥ…!人間の餓鬼だ…!さっき二匹の餓鬼を食ったが…クックックッ…!まだいたなんてなァ!!!」

化物の両手には私の弟と妹。

凛太郎「…ぇ…」

凛子「ぁ…」

『あ………あ…あ…!凛太郎…凛子…!』

化物「ここでテメェも喰ってやる!!!」

誰か…誰か…!

化物が私に向かって駆け出した。

喰われる…!

私は咄嗟に壁に寄りかかり、眼を固く閉じた。









 ザンッ!!!

『…!?』

化物が…来ない…?

??「お前、平気か。」

声が聞こえ、目蓋を恐る恐る開けた。

そこには左右の眼の色が違う、口元に包帯を巻いた小柄な男性がこちらを見つめていた。

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作者名: | 作成日時:2020年10月25日 10時

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