参拾陸話 ページ21
ーA視点ー
龍之介「…親父ィ…!」
『に、兄さん?』
兄さんは拳を握りしめて震えだした。
龍之介「よし、分かった。二人も助ける。」
『あ、言っておくけど、杏香はいいから。』
龍之介「当たり前だ。」
杏香は嫌いだし、何より私を殺すと言ったからな。
龍之介「じゃあ、俺は行くな。」
『うん、また明日。』
カチャッ…パタン
『…凛太郎…凛子…』
私はここ数ヶ月会ってない二人の名前を口にした。
???/??「お姉ちゃん…」
聞き覚えのある声がして振り返ったら凛太郎と凛子が立っていた。
『!!二人共!』
凛太郎「お姉ちゃんに会いたくて来ちゃった。」
凛子「お父さんは今いないから大丈夫だよ。」
『でもっ…!だからと言って無理に来なくていいんだぞ…!』
そんな私の注意を無視して二人は続けた。
凛太郎「お姉ちゃん、死んじゃうの?」
凛子「お姉ちゃん死んじゃうなんてやだー!」
『凛太郎…凛子…』
私は格子越しに二人の頭に手を乗せた。
『大丈夫、私は死なない。ここから逃げて、兄さんと凛太郎、凛子の四人で暮らすんだ。』
凛子「私達も?」
『そうさ、二人共私の大事な弟と妹だから。』
凛太郎「本当?約束してくれる?」
『ああ、約束だ。』
私達は互いの小指を絡めた。
18人がお気に入り
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:靉 | 作成日時:2020年10月25日 10時