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参拾弐話 ページ17

ーA視点ー

いつもと変わらず、兄さんは毎日来てくれた。

変わった事と言えば、日に日に兄さんの顔が強張っていく事だ。

 コトン…

『(兄さんかな…?)』

???/??「…」

音がした方を見てみると、私よりも二回り程小さな男の子と女の子が物陰に隠れて私を見ていた。

『…君達は?』

???/??「ビクッ」

驚かせたか?

『何もしないよ。こっちに来て顔をよく見せて。』

???/??「…」

すると二人はそろそろと近づいて来た。

二人は金色の眼をしていた。

それと驚いた事に男女ではあるが、二人共顔がよく似ている。

『私はA、君達は?』

凛太郎「…僕は…凛太郎…」

凛子「私…凛子…」

『…君達が双子ってやつなの?』

凛太郎/凛子「コクコク」

『へぇ…初めて見たよ。』

牢屋(ここ)にいると知らない事が多すぎて兄さんだけじゃ教えきれないものがある。

凛太郎「………お姉ちゃんは寂しくないの?」

『ん?』

凛子「ここにずぅっといて、寂しくないの?」

初めてこんな事言われた。

母さんや兄さんだってそんな事は聞かなかった。

よく聞いていたのは"必ず助ける"という事だった。

『………………寂しいよ。』

凛太郎/凛子「…」

『でもね、兄さんが来てくれるし、今来た君達がいるから寂しさはちょっとだけ小さくなる。』

凛太郎「僕達がいるから?」

私は静かに頷いた。

すると二人はお互いの顔を見合わせて可愛らしく笑った。

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作者名: | 作成日時:2020年10月25日 10時

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