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肆拾弐,Murder on D Street ページ42

江戸川「また殺人事件の依頼だよ!」

社員一同、面倒そうに襲撃の後片付けをしているところに不似合い且陽気な声が聞こえる

江戸川「この街の市警は全く無能だねえ」

その声は自分を大いに誉め称える

江戸川「僕なしじゃ犯人ひとり捕まえられない」

声の主はニッと口許に弧を描く

江戸川「でもまあ、僕の【超推理】は探偵社、いや、この国でも最高の異能力だ!
皆が頼っちゃうのも仕方ないよねえ!」


――――探偵社一の探偵(・・)・江戸川乱歩は、片付けも手伝わずに自分への喝采を捧げている
自分に溺れたままに彷徨く江戸川は、足元で中島が拾おうとしていた本に気付かずに踏み付けた。ように見えたが、既のところで志賀が拾い、本棚に戻している

が、中島は中島で、志賀の存在に気付かなかったので

中島「乱歩さん、その足元の本、横の本棚に戻さないと」

江戸川「ああ、ごめんね。って、本なんて無いじゃないか。まあ大方、直哉がもう本棚に戻したんだろうけど」

志賀「ご明察」

中島「うわあ!直哉君、何時からそこに…?」

志賀「乱歩さんが本を踏んづける寸前から」

中島「ああ、そう………。」

…………以前にもこんな会話をしたような気がする。

異常な探偵社の雰囲気に、未だ心身共に慣れない中島は常に困惑顔である。



国木田「頼りにしています、乱歩さん」

江戸川「そうだよ国木田。君らは探偵社を名乗っておいて、その実猿ほどの推理力もありゃしない」

国木田を指差して声高らかに罵倒する江戸川

江戸川「皆、僕の能力【超推理】のお零れに与っているようなものだよ?」

そしてまた声高らかに自身を讃える

宮沢「凄いですよね【超推理】。使うと事件の真相が判っちゃう能力なんて」

国木田「探偵社、いえ、全異能者の理想です」

やいのやいのと江戸川の株が揚がっていく

中島「…」

はっはっは、当然さ、などと宣う江戸川と、その観衆(オーディエンス)の騒がしいのを中島はただぼんやり眺めている。

国木田「小僧、ここはいいから乱歩さんにお供しろ。現場は鉄道列車ですぐだ。
直哉も、実篤との任務があるだろう、ついでに太宰のヤツも拾ってこい」

志賀「………………フゥ。じゃあ、行ってきます」

中島「えっ、溜め息?実篤?………って、ええ!?僕が探偵助手ですか?そんな責任重大な――――





志賀は以前より少し大きく感じる探偵社の喧騒を背に、任務へ足を進めた

肆拾参,おっと失敬→←肆拾壱



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神楽かな(プロフ) - 面白いですね! (2017年12月12日 1時) (レス) id: 01b9535641 (このIDを非表示/違反報告)
無銘 - ルルさん» 有難う御座います。御礼が遅くなり、申し訳ありません。これからものんびりではありますが、頑張って書いていくので、どうか御愛顧下さい。 (2017年11月5日 17時) (レス) id: 6797fe50b8 (このIDを非表示/違反報告)
ルル - 面白かった!! (2017年10月17日 0時) (レス) id: 5f42220b54 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:無銘 | 作成日時:2017年5月5日 14時

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