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太宰「なんで?」

志賀「その身体能力を見込まれて、とかですか?」

芥川「否、簡単な事。その人虎には―――

七十億の懸賞金が懸かっている

裏社会を牛耳っても、余りある額だ」

未だそんな事を云っている二人に、呆れるでも無く芥川はえげつない答を返す

志賀「成る程、納得です。裏社会を牛耳るとしたら、最低でも十億。七十億ともなればそう躍起にもなるでしょうね」

太宰「へえ!それは景気の良い話だね。直哉君も、社会について善く学んでいるようで結構」

芥川は、相も変わらず暢気な太宰を睨み付ける。そして

芥川「探偵社にはまた孰れ伺います。その時素直に七十億を渡すなら善し、渡さぬなら―――」

志賀「"戦争"ですか?探偵社と?」
太宰「"戦争"かい?探偵社と?」

志賀は明らかに呆れ乍、太宰はニコニコと笑い乍同時に問う。しかし、答を待つ訳でも無く続ける

太宰「良いねぇ、元気で」

志賀「全くですよ。ですが、それだけ人員が行き届いている、と云う証拠なのかもしれないですね」

太宰「まあ――――」





太宰「やってみ給えよ―――やれるものなら。」



そう云って嗤う。その顔は凡人ならば一瞬で恐怖に震え卒倒する程の気迫を帯びていた。

樋口「………ッ、零細探偵社ごときが!我らはこの町の暗部そのもの!傘下の団体企業は数十を数え、この町の政治・経済の悉くに根を張る!」

志賀「それがどうしたと云うんです?」

樋口は志賀の、まるで滑稽だ、と云わんばかりの態度に苛立ちつつも続ける

樋口「!……たかが十数人の探偵社ごとき―――三日と待たずに事務所ごと灰と消える!
我らに逆らって、生き残った者などいないのだぞ!」

太宰「知ってるよ、その位」

志賀「一般常識の範疇」

退屈そうに答える二人に、芥川は云い放つ

芥川「然り、だが、外の誰より貴方はそれを悉知している。





――――――――――元マフィアの太宰さん」

卅壱,小噺壱→←廿玖



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神楽かな(プロフ) - 面白いですね! (2017年12月12日 1時) (レス) id: 01b9535641 (このIDを非表示/違反報告)
無銘 - ルルさん» 有難う御座います。御礼が遅くなり、申し訳ありません。これからものんびりではありますが、頑張って書いていくので、どうか御愛顧下さい。 (2017年11月5日 17時) (レス) id: 6797fe50b8 (このIDを非表示/違反報告)
ルル - 面白かった!! (2017年10月17日 0時) (レス) id: 5f42220b54 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:無銘 | 作成日時:2017年5月5日 14時

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