[男主]新聖、そして終焉。Q+r≠Q

Just bloomed ページ8

Aくんからチェロを受け取り、椅子に座る



軽く弦を引けば綺麗で修理したものとは思えないほどのしっかりとした音が鳴った




『よかった、大丈夫そうみたいだね』




そう笑うと彼はバイオリンを持ち、ゆっくりと弾き始めた



引く前に慣れないから下手かもしれない、だなんていってたけど腕前は確かなもので心地よい音が辺りに響く



自分もチェロを構えていい感じのタイミングでゆっくりと引き始めた。



.





.




｢下手って言ってたけど、Aくん凄く上手だったよ｣



そう言うと彼はにっこりと笑ってありがとう、と答える。そんな彼にまたドキッ、としてしまったり。



ふわり、と吹いた風に揺られる花が視界の端に映る。


先程も言ったがこんな所に花が咲くなんてすごく珍しいことだ。




｢こんな所に咲くなんて珍しい……｣



ぽそり、と僕がつぶやく



『スカビオサ、花言葉は不幸な愛……そして





私は全てを失った』





彼の横顔は切なそうだった。

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