STEP45【処刑台の嘲笑】 ページ48
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「は？何を言っている。王殺しの大罪人に優遇措置などあるか」
「………いやぁ、なんともまぁ、酷い扱いだ。悲しいなあ……ふふっ、」
陽の光の差し込まない地下牢の扉がギィッと耳障りな音を鳴らす。突然騒ぎ出した冷風が薄い布服を通り越し、薄汚れた身体を舐め回した。
「……少しぐらい俺に感謝してくれてもいいじゃないか。だって君達、あの愚王の事相当嫌ってたでしょ？ククッ、なんで俺だけ悪いみたいになってんの？逃げんなよ」
「貴様、口を慎めっ！あの高貴なるお方を愚弄するとは何事かっ！！」
「……思ってもない癖によく言うよ。本当にどいつもこいつも腐ったミカンより酷い」
俺はボソリと一言呟く。
暖かみの無い地面に転がっているのは黒いカビの生えたパンと見捨てられた野望。だがそれを眼にする気力も無く、俺は手に持っていた細長い鋭利な石ころと床に描いた複数人の名前をそっと埃被った毛布で隠した。
──結局決められなかったな。どっちの「幸せ」を助けても、俺が死ぬのは変わりない。やっぱり俺は死ぬ直前になっても「悪役」のままで、主役になんかなれやしない。
「おい、何をしている。早くしろ」
「……ハイハイ、そんなに焦らなくても俺はこっから逃げれないんだから」
壊れかけの身体に愚鈍な声音と言葉を失ったガラクタ
全てを失ったあの日から己の体は更に痩せこけ、あの壊れた物や棄てた物を追い求める感情すらも何一つ残ってはいない。
歪んだ視界の中、俺は白く肉の無くなった自分の足で立ち上がると、数日ぶりに開かれた鉄格子の扉の元へ歩み寄る。
牢獄の地面はコンクリート。そこから湧き出る冷淡な屈辱が視界にモノクロ世界を映し出す。そして時折横切るのは、よくテレビで流れる砂嵐。そして色彩を見失った最終幕の舞台衣装に冷たい物体──逃げ場を封じる鉄の手錠が手首を着飾る。勿論晴れ化粧など無い。
──俺はもう、何もかも失った。唯一の生きる理由は他者によって奪われ、Anti dead PROGRAMによって痛覚も視覚も遂に失ってしまった。多分聴覚も、今聞こえずらくなっているから、死ぬ直前には何も聞こえなくなっている事だろう。
あぁ、
「……最後に聞くのも、『人殺し』か」
俺はこの牢屋の中に吐き捨てた言葉に目もくれず、牢の外に出た。
俺は看守の後に続き、石レンガの階段を上る。一歩、また一歩と地上へと近付く度に巨大化していく罵声の合唱。「滑稽だ」と嘲笑い、血も涙も全て憎悪に注ぎ込んだ処刑台が俺の名前を呼んでいる。
「さぁ、登れ。観衆達がお前の処刑を待っている」
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あまやみ。(プロフ) - 星降春さん» ありがとうございます！さて第四部では作者は星降春様を感動させる事が出来るのか！笑お言葉嬉しいです！応援の元頑張ります！ (2021年3月7日 20時) (
レス) id: 69b3072188 (このIDを非表示/違反報告)
星降春(プロフ) - 第三部完おめでとうございます！もう、最高ですか！？第四部が楽しみすぎて夜も寝れません笑。確実に泣いちゃいますね、第四部。どうか，アンデット君が報われますように。 (2021年3月7日 18時) (レス) id: a283d6b201 (このIDを非表示/違反報告)
あまやみ。(プロフ) - 奈飴亜さん» え、本当ですか！？ありがとうございます！！そう言って頂けて本当に心が嬉しくて叫んでます笑期待にお答え出来るよう頑張ります！！ (2021年3月7日 17時) (レス) id: 69b3072188 (このIDを非表示/違反報告)
あまやみ。(プロフ) - 地稲さん» ありがとうございます！いやもう地稲様の貴重なお言葉を頂けるだけで本当に嬉しいです！！何より楽しんで頂けているとお聞きできて、あぁ、書いてて良かったなと思えました！ (2021年3月7日 17時) (レス) id: 69b3072188 (このIDを非表示/違反報告)
あまやみ。(プロフ) - ハクグンさん» ありがとうございます！もう自分が作中で伝えたい事を読み取って下さってくれていて感激です！！気まぐれペースが続くと思いますが、どうぞお楽しみ下さい！！ (2021年3月7日 17時) (レス) id: 69b3072188 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：あまやみ。 | 作成日時：2021年2月20日 13時
