・＿？side ページ39
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以前より更に痩せた身体を横に倒し寝ているA=アンデッドの姿──何度も仲間を殺され、挙句の果てにはグルッペンさんの命を奪おうとした極悪人が今俺の目の前で寝息を立てながら、生きている。
それが、ただ酷く憎らしい、筈だった。
ふと腹部が血で汚れたシャツが捲り上がり、彼の腹部の雑に巻かれた包帯が目に入る。その包帯は赤黒いシミを作っていて、こんな場所では菌が傷口に侵入してしまうだろう、と自分でも不思議とそう思った。
俺は牢の外に置かれていた救急箱から消毒液と新しい包帯、傷口を塞ぐ布を取り出すと、無意識にA=アンデッドの怪我の手当をしていた。今思えば、どうして俺はそんな事をしたのかと疑問に思う。もしもあのまま敵のこの人を放置していれば、菌に侵され病気になって、そのまま死んでくれたのかもしれないのに。
あの時に湧き出た感情は憎悪と安心──今でもそれらの真逆な感情は混乱を産み、不気味にも心の隅に居座るその突っかかっている物に俺は居心地悪くしていた。
「一つ、君にお願いしたい事があるんだ。俺に、包帯をくれないかな？」
俺は巡らせていた思考を現実世界に戻し、背後から聞こえる声に耳を傾けた。
「……何でですか」
──自 殺しようとしてはるんか…？
ふとした考えが頭の中を過ぎる。
「ハハッ、そんなに警戒しないでよ。何も包帯使って首絞めて自 殺しようって考えてる訳じゃないから」
「……今のあんたならやりかねないと思うんすけど」
「大丈夫、初対面の君に言うのも変だけど、俺を信じて欲しいな」
その、特に気にせず見張りに話し掛けているこの人の図太さには正直、立場分かってんのか？と呆れ返る。だがその反面、普段の、俺の知っている彼とは雰囲気の違う様子に戸惑っている俺が居た。
「…包帯、何に使うつもりなんですか？」
「……特に大それたことではないよ。俺はただ、この眼を塞ぎたいだけ。今さ、この左眼で見えるのは色も形もクソも無い。真っ白で無形で、ほんと気味が悪いんだ」
「！…それって…っ！」
その言葉が耳に入ったその時、俺の心臓が大きく音を鳴らした。
バッ──と音が鳴るかのように、俺は勢いよくA=アンデッドの方を向いた。その時、牢獄の中で悲しそうに無理矢理笑顔を作る彼の姿が目に映る。
彼は、指先で自分の左眼を触れていた。
「うん。多分君が思ってる通りだよ」
A=アンデッドはヘラりと笑って、肩を竦める。
「──見えないんだ、もう、君が当たり前のように見えている世界が。多分、もう二度と、俺はこの目でその"当たり前な世界"を見る事は出来ない」
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あまやみ。(プロフ) - 星降春さん» ありがとうございます！さて第四部では作者は星降春様を感動させる事が出来るのか！笑お言葉嬉しいです！応援の元頑張ります！ (2021年3月7日 20時) (
レス) id: 69b3072188 (このIDを非表示/違反報告)
星降春(プロフ) - 第三部完おめでとうございます！もう、最高ですか！？第四部が楽しみすぎて夜も寝れません笑。確実に泣いちゃいますね、第四部。どうか，アンデット君が報われますように。 (2021年3月7日 18時) (レス) id: a283d6b201 (このIDを非表示/違反報告)
あまやみ。(プロフ) - 奈飴亜さん» え、本当ですか！？ありがとうございます！！そう言って頂けて本当に心が嬉しくて叫んでます笑期待にお答え出来るよう頑張ります！！ (2021年3月7日 17時) (レス) id: 69b3072188 (このIDを非表示/違反報告)
あまやみ。(プロフ) - 地稲さん» ありがとうございます！いやもう地稲様の貴重なお言葉を頂けるだけで本当に嬉しいです！！何より楽しんで頂けているとお聞きできて、あぁ、書いてて良かったなと思えました！ (2021年3月7日 17時) (レス) id: 69b3072188 (このIDを非表示/違反報告)
あまやみ。(プロフ) - ハクグンさん» ありがとうございます！もう自分が作中で伝えたい事を読み取って下さってくれていて感激です！！気まぐれペースが続くと思いますが、どうぞお楽しみ下さい！！ (2021年3月7日 17時) (レス) id: 69b3072188 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：あまやみ。 | 作成日時：2021年2月20日 13時
