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空気感 ページ10

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11月に入ってもまだ
昼間は暖かい日が続いている。


でもさすがに仕事帰りの時間になると
薄手のコートは必要で


今日もコートを羽織り、
「お疲れ様です」と声をかけて職場を出た。


ちょうどエレベーターがあいていたので
「乗ります!!」と慌てて駆け寄ると、


中にいたのは渋谷さんだった。




「一緒にいいですか?」


「うん」




小さく頷くので、
中に入るとドアがしまった。




「今日も土手に行くんですか?」


「ううん。今日は行かへん」


「丸山さんたちと飲みに行ったりは?」


「今日は帰る」


「せっかくの金曜日なのに」




とか言う私もそのまま家に直行コースなのだが。




「あいつらと行くと長いねん」


「あー、確かに。お酒強いですもんね」




飲み会でも延々と飲み続けているのだ。


顔真っ赤にして。




「でも渋谷さんも潰れたりしないじゃないですか」


「潰れるような飲み方はせえへんもん」


「真面目なんや」


「瀬戸さんもやろ?」


「私はそんなに強くないんで、2杯までって決めてます」




それ以上飲むと眠くなるのだ。


ああやって楽しそうに酔っ払っているのを見ると
少し羨ましくなる。




「だから気づいたらウーロン茶飲んでんねや」


「知ってたんですか」


「飲み会行くと店員がウーロン茶の方〜って言うてんのよく聞くから。誰やねんって思ってた」


「私ですね」




エレベーターをおりて
社内を歩いていた時、


「瀬戸ちゃん!」と私を呼ぶ声。


少し掠れた印象的な声に
私の頭にはすぐに1人の顔が浮かんだ。


振り返るとそこにいたのは
やっぱりその人で




「錦戸さん!」


「今帰りなん?一緒に、…って、」




そこまで言いかけてから
何故か顔が曇った。


錦戸さんの視線の先には、渋谷さん。


錦戸さんと渋谷さんって
なにか接点あったやろうか。


なんやろ、この、


…微妙な空気感は。




「亮と知り合いなん?」




渋谷さんは私を見る。


亮、って呼ぶってことは
なかなかに親しい間柄なのか…?




「入社前研修の時にお世話になったんです」


「そうなんや」




興味なさげに呟く渋谷さん。


え、2人の関係って
聞いてもいいんやろうか…?


心の中で葛藤している間に
お疲れさん、と渋谷さんが歩き出すから


「おつかれさまです!」
と錦戸さんに声をかけて、後を追いかけた。




「このあとってなんかあるん」


「え?」


「俺やっぱ土手行こう思うねんけど」





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はるまる(プロフ) - のるさん» コメントありがとうございました!!いかがでしたでしょうか!次回作もぜひ(^^)! (2019年12月13日 18時) (レス) id: 74b7d9762d (このIDを非表示/違反報告)
のる(プロフ) - いいですねぇぇっぇぇえ (2019年12月10日 10時) (レス) id: f5d566c6da (このIDを非表示/違反報告)
のる(プロフ) - な…何があったんですか!? (2019年11月19日 17時) (レス) id: f5d566c6da (このIDを非表示/違反報告)
のる(プロフ) - この平和な感じ……いいですねぇ!続き楽しみに待ってます! (2019年11月18日 8時) (レス) id: f5d566c6da (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:はるまる | 作成日時:2019年10月13日 19時

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