付き合ってるエーサボで、冬の一コマ ページ1
エース君は幼児体温で冬はみんなから湯たんぽ扱いされてたらいいと思います
「さっむ」
「今日10度超えないっていったろ？もっと防寒してこい、風邪ひくぞ」
誤算だった。そりゃ完全に間違えた。
買い出しに行くためにスーパーへ行ったはいいモノの、寒すぎて手が震える。
さすがにコートくらいは着てくるべきだった。くそ、暑がりだからって調子乗ってた。
対してサボは防寒ばっちりだ。
コートにマフラー、手袋してポケットに手を突っ込んでる。普段からブランケットに包まるか、コタツにこもるかの寒がりっていうのもあるが。
「せめて手袋貸し……いや、ごめん」
めっちゃ睨まれた。
俺の恋人こっわ。
鋭く射抜くような視線だった。仮にも恋人にそんな殺意こめて睨むなよ。
「自業自得だろ。」
「うぅ〜さび〜」
はあとため息をつくと、白くなって吐き出された息がどんよりと重たい空に消えていく。
それがまるで白さが灰色の空に上書きされるようで、少々切ない。
ため息をつくと幸せが逃げるなんて言ったのは、どこのどいつだ。なかなか的を得ている。
天気のせいでテンションがどんどん落ち込んでいく。グレーな気分、曇り空だけに。
ふと、手に温かい肌が触れる。
「いや、エースの手つめてぇな。普段は幼児体温なのに」
サボが俺の手を握ってきた。
「いや、よく考えたらエースが風邪ひいたら看病するのおれじゃん？それはめんどい」
いわゆる恋人つなぎされた手を眼前に掲げてまじまじと見る様子は、はかなげだけど、きれいだなとも思えた。
空気に触れると寒いというのが半分、サボと少し近づきたいという下心半分で、俺はつながれた手をポケットの中に突っ込む。「っと」と言ってサボがよろけると、二人の顔がぐっと近づいた。
目が合うと、サボはその大きな目をぱちぱちとさせた後、小恥ずかしそうに頬を緩めた。
その顔が何とも言えずかわいくて、俺は思わずもう一度ため息をついた。
「ため息をつくと幸せが逃げるらしいぞ」
サボがハハハっと笑いながら言ってきた。
いいや違う、これは幸せのおすそ分けだ。
サボが隣にいてくれる限り、俺の幸せは尽きそうにない。
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作者名：piece OF cake | 作成日時：2020年12月5日 1時
