＊ ページ35
*kiriyama*
急変した病棟の患者さんの処置を終わらせて、救急センターへ向かう途中、Aの一言が頭から離れない。
"Hb 8.6"
そんなになるまで我慢してたなんて、全然気付けへんかった。
というか、最近ほとんど望と会ってへんかったわ。その時点で、気にかけておくべきやったんやな。
頭に浮かんだ最悪のシナリオ。
男性の貧血の原因の多くは、消化管からの出血であり、胃がんや大腸がんがその代表例に挙げられる。
実際、俺が担当しとる大腸がんの患者さんは、貧血で受診した際の検査でがんが発覚した。
考えたくはないねんけど…
いや、今は1人の患者さんとして向き合うべきやな。
桐山「A！」
A「ぁ……。桐山先生、ご足労いただきありがとうございます。こっちの処置室です」
桐山「どうした…？」
センターに入りキョロキョロしていると見慣れた後ろ姿が見えて、追いかけた。
声をかけ、顔を合わせて気づく違和感。
いつも仕事中は冷静で凛としているAが、珍しく動揺した表情をしてるんや。
思わず小さい声で聞いてしまった。
しかし、Aから返答はなく、代わりに1枚の紙を手渡される。
…腫瘍マーカー、や。
桐山「……っ！」
A「戻りました」
神山「あ、桐山先生。ありがとうございます。それ、、」
たった1つ、"H"ighを示す項目を見つけたのと、望のベッドに着くのはほぼ同時。
横たわる姿を見れば、どうしたって胸が痛む。
久しぶりに見た望は、随分と痩せたように見えた。
桐山「腫瘍マーカー、CEAが7.9ng/mlで
神山「っ…、そうですね」
Ns「内視鏡、準備出来ました！」
神山「血圧低いから鎮静剤使えないな。キシロカインスプレーお願いします」
内視鏡を握る手にじんわりと汗をかく。
まだわからんやろ、この目で確認するまでは。
そう自分に言い聞かせてないと、カメラを進めるのが怖くて仕方なかった。
桐山「望ー、1回だけごっくん頑張ってくれへん？せーの。…ん、上手。あとは、楽にしてくれてたらええからなぁ」
A「唾液も飲み込まないで、出しちゃってね」
神山「今の所は、出血も落ち着いてそうやな」
とりあえず洗浄が必要な程の出血がなくて良かったわ。
安堵しつつ、カメラを食道から先に進めた。
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エミーリア(プロフ) - 莉咲さん» コメントありがとうございます！夜遅い時間帯の更新が多くてすみません…。習慣にまでして下さって嬉しいです♪これからも楽しんで頂けるよう頑張りますので、どうかお付き合い下さいませ♡ (2022年10月13日 2時) (
レス) id: f671841eb7 (このIDを非表示/違反報告)
莉咲(プロフ) - 最近、このお話しを読んで寝るのが習慣になりました。これからも楽しみにしています。お身体に気を付けて更新、頑張ってください^_^ (2022年10月9日 19時) (レス) @page43 id: 831d42e079 (このIDを非表示/違反報告)
エミーリア(プロフ) - mikuさん» リクエストありがとうございます！心臓を専門にしてるDrが居ないので、軽い物にはなると思いますが、書かせて頂きます！お待たせしてしまいますが、心疾患は得意なので、楽しみにしていて下さい♪ (2022年9月20日 13時) (レス) id: f671841eb7 (このIDを非表示/違反報告)
miku(プロフ) - いつも楽しく読ませて頂いてます。リクエストよろしいでしょうか？夢主の心臓の病気のお話をお願いしたいです。大変だとは思いますが、無理せず頑張って下さい！ (2022年9月20日 8時) (レス) id: 38d0b39198 (このIDを非表示/違反報告)
エミーリア(プロフ) - ハナさん» コメントありがとうございます！更新お待たせしてしまってすみません。もうひとつのお話がひと段落したら書くつもりです。女の子のお話も考えています！もう少しお待ち下さい！ (2022年2月26日 21時) (レス) id: f671841eb7 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：エミーリア | 作成日時：2021年2月1日 0時
