*～箱～*〈約ネバ〉 (ページ16)

今日:1 hit、昨日:6 hit、合計:64,527 hit

15 ページ16

カランカランと、聞き慣れた鐘の音が耳に入る

もうそんな時間か

ユウお兄ちゃんがハウスの方へと歩いていってから、それなりに時間が過ぎた

私はハウスのほうへと体を向け、心の中にいる少女に向かって声をかける

『ねぇ？』

*いつもの？*

『うん。よろしく』

その言葉を発するとほぼ同時に、私の目の前は白く光る

その光が消えたとき、森にいたはずの私はハウスの裏にいた

特別な箱を使ったのだ

使うといっても小さなこと

世界や運命を変えるような大きな願い事はこれまでしたことがない

特に害がないであろう小さなことには何度も使っている

例えば、破れた本をもとに直したり、木に登ったり、今のようにハウスへと戻るなど...

だけど、アヤはもっと大きな、世界や運命を変えるような願いを求めている

*次の願いはないの？*

『分かってて聞くの？』

その一言でアヤは黙ってしまう

大人しくなったことを確認して、私はみんながいる方へと歩いていく

そこには、息を切らしたエマとノーマンや、年少者に乗られたり、引っ張られたりしているユウお兄ちゃんもいた

と、森の方からマルクが泣きながら走ってくるのが見えた

ﾏﾙｸ「ママ～!!」

ﾏﾏ「どうしたの？マルク」

ﾏﾙｸ「森でナイラとはぐれちゃった～!!(泣)」

ユウ「ほら、泣き止んで、マルク」

ユウお兄ちゃんがマルクを慰めている間に、ママはポケットから懐中時計を取り出す

時間を確認しているわけではないことを私は知っている

ﾏﾏ「みんな大丈夫。ここで待っていて。ユウ、みんなをお願いね」

ユウ「わかりました」

そして、ママは森へと向かって歩き始めた

私はみんなと少し離れた場所から様子をうかがうことにした

しばらくして、いや、少ししてママとナイラが帰ってきた

近くでエマとノーマンが顔を強ばらせていた

あぁ、発信器の存在を知ってしまったのか

さすがにはやすぎるからかな？

年少者達は、ママに抱えられたナイラのもとへと集まる

エマとノーマン、そしてユウお兄ちゃんだけがその場で固まっている

私は、そんな家族を一通り見て、ハウスへと戻った