*～箱～*〈約ネバ〉 (ページ12)

今日:4 hit、昨日:3 hit、合計:64,524 hit

11 ページ12

次の日の早朝

今日も図書室で私は本を読んでいる

でも、本の内容は全く頭に入ってこない

頭のなかは、昨夜のレイの話と、夢のアヤちゃんが言ったことでいっぱいだからだ

『はぁ...』

何度目かわからないため息が自然とこぼれる

"脱獄"

私には、いや、今の私には無理なことだ

だって私は____

やっぱ考えるのはやめよう

私は右耳のすぐ上についている赤いリボンをいじる

ひらひらと揺れるリボンは耳にあたって少しくすぐったい

このリボンはお兄ちゃんからの最後の贈り物だ

毎日つけて、お兄ちゃんを忘れないようにしているものだ

もし、帰ってくる大切な人がお兄ちゃんなら、私はどんなに喜ぶだろうか

再会できたら、どんなに嬉しいだろうか

お兄ちゃんのことを考えるだけで、自然と笑みがこぼれる

...

そんなことないよね

カランカラン、と、六時を知らせる鐘がなる

今日はエマのコールはなかった

仕方ないようなものだ

予定では、エマとノーマンがコニーを見てしまったのだから

その絶望は知っている

個人差はあれど、ほとんど同じように考えるだろうから

私は手にしていた本を棚に戻して、食堂へと向かう

その途中で、ノーマンに会った

ノーマンは一瞬驚くように目を大きくしたが、すぐにいつもと変わらない笑顔で

ﾉｰﾏﾝ「おはよう、セラ」

そう、声をかけてくる

"よく普通でいられるね"

そう言いそうになる口をギュッととじる

スタスタといつもと変わらないようにノーマンの目の前を通った

ノーマンの探るような視線がささるのを感じながら、食堂へと入る

すぐに、明らかに表情のかたいエマと、いつもと変わらない家族が目にうつる

私は全てをスルーして朝食の準備をする

途中、ノーマンがエマに何か伝える様子を確認したが、これといって興味はないからほうっておく

そして朝食を終え、テストを終えてさぁ自由時間という時、ママからみんなに知らせがあった

その知らせに、私は心の底から驚かされたところまでは覚えている

でも、なんで？

現在自由時間

『どうして...』

私は現実というものがわからなくなって涙を流している