Dracula La＊４

▽ ページ29

首筋を隠すために、いつも結んでいる髪を前にもってくる。




…首を動かさなきゃ大丈夫そう。




鏡で見えないことをチェックして洗面所を出ようとすると




「どうせ髪おろすなら巻けばいいのに」


マイがひょこっとやってきた。




「えーでも、バイト行くだけだし」




「…ようぺも来るんでしょ？」




「まぁそうだけど…」




「だったら尚更じゃん！」


私がやってあげるから、と私の髪をセットして。







毛先がゆるーく巻かれ、そのせいかフワフワっとして、少なくとも首筋の跡は見えなかった。




「スタジオの受付がこんなんでいいのかな…」

ちょっと派手な気もしたけど。




「キスマーク隠れたじゃん？」

とまたもやニヤニヤしてくるマイに




「…帰ってきたら、彼氏との話聞くからね」

と言ってアパートを出る。









“男避けじゃないの？”


スタジオに向かいながら、大学でマイが言っていたことをふと思い出すけど。




…私に男の人が寄ってくることなんてないのに。




どちらかというと、私の方が心配なんだけど。







.







「ありがとうございました！」


いつものように受付でお客様に対応していると、




「…え、」


驚いたような声が降ってくる。

顔を向けると白井さんがいて




「白井さん！こんばんは」


…でも、私がそう声をかけても、目をぱちくりしていて




「あの…どうかしました？」




「あー…いや、一瞬、誰かと思った」


と白井さん。



…いつも結んでるからなぁ。

ゆるふわとか私には似合ってないのかも。




「…やっぱり似合いませんよね私(笑)」




「いや、そうじゃなくて。いいと思うよすごく」




あまり笑わない白井さんが微笑んでいて。





「えっ！あ、ありがとうございます…」


予想外の反応で戸惑う。

…なんというか、ちょっぴりドキッとしたというか…





「あと30分ぐらいしたら洋平たち来るよ」




「あっ、はい、分かりました」



…まぁ、似合ってないわけではないならいいのか、な。

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