58.HS ページ8
HS「ダンスって言われてもさ」
JM「そういうダンスじゃないからさ」
『えー！ダンスはダンスじゃん！教えてよ！』
この子は何を考えてるんだろう、笑
家に帰ってきて早々、
ジミンと俺の手を引っ張って、
ダンスパーティためのダンスを教えてほしいと
言う。
たしかに昔、俺はダンスしてたけど、
それってヒップホップだし。
ジミンに至っては現代舞踊だし。
っていうか、そもそも俺は
HS「ごめんね、A。
今日すごく疲れてるから寝るよ、
ジミナに教えてもらいな？」
そう言って逃げるように部屋に戻った。
ジミンが何か言いたげな顔をしていたのは
見ていなかったことにしよう。
今日は雨だ。
治ったはずのアキレス腱が、
ズキズキと未だに痛む。
.
.
.
「J hopeがいるなんて聞いてねぇよ！」
「俺ら負けたな」
「J hopeってなんだ？名前か？」
「お前ら知らないのか？
ヒップホップで賞総ナメにした奴だよ」
一時期、俺ら兄弟の中でも、
ダンス用につけた俺の芸名みたいな
J HOPEは流行語になった。
中学生のグクは事あるごとに
何も関係ないときに突拍子もなく
「じぇいほーーーーーぷっ！」と叫んで、
俺が踊って、兄弟みんな笑ってたっけ。
懐かしいな。
スーツの裾から少し見える痛々しい
アキレス腱の手術の痕が見えた。
いつも通り練習していたあの日、
バランスを崩してアキレス腱を切った。
それ以来、俺は踊ってない。
ヒップホップも聴かない。
兄弟の中でも暗黙の了解で
ジェイホープは禁止用語になってしまった。
あの頃から
俺はあんまり笑えてない気がする。
.
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作者名：やきにくさん
| 作成日時：2019年7月19日 23時
