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104話 ページ5

外の空気は久々だ。
真っ赤な夕暮れを背にして走る。

走っているときに受ける風が気持ちいい。
でも疲れた。もう走りたくない。

それでも私は童磨に会いたい。
もう止まりそうな足に鞭打って私は寺院へとひたすら走った。


『は……ぁっ…はぁ…っ』

やっと着いた寺院の扉にもたれて私は肩で息をする。
やっと着いたんだ、よかった…

だめだ、まだここで安心しちゃいけない。
童磨に会わなきゃ。

私は疲れで重たすぎる体を前傾させてもたれかかっていた扉から離れる。

が、すぐに私は体勢を後ろに崩した。

疲労でよろけたとかではない。
私に突進してきたやつがいただけ。

『…童磨…苦し…』
「…ごめ………で……」
『なんて?』

童磨は何かをぼそぼそと言いながら私を抱きしめてきた。

「…しんぱいした…ッ」

童磨は抱きしめるのをやめたかと思えば、私の肩を震える腕で掴んでそう言った。

私はただ、驚いた。

『…泣かないでよ、もう』

私は童磨の両目から零れる大粒の涙を拭った。
童磨も自分が泣くとは思っていなかったらしく、潤んだ目を少し見開いた。

嬉しい。
こうやって本気で心配して本気で泣いてくれた。

ただでさえ感情がないのに。
信者の話で流す涙も偽りのものなのに。

私だけに、心から泣いてくれている。

『ふふ、童磨だいすき…』

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むるち(プロフ) - メグさん» 2年越しのお返事で申し訳ありません。応援ありがとうございます。よろしければ今後もお付き合い頂けますと幸いです。 (12月11日 13時) (レス) id: 5314d67d38 (このIDを非表示/違反報告)
メグ(プロフ) - 初めまして。小説楽しく拝見させて頂きました。童磨好きなので、更新楽しみにしています。頑張って下さいね。 (2021年1月4日 17時) (レス) id: b24a442a0d (このIDを非表示/違反報告)
むるち(プロフ) - ぱふぇさん» コメントありがとうございます。童磨の格好良さに気づいて頂けて良かったです!ぱふぇ様のコメントを見て久々に更新致しました。これからもゆっくりではありますが更新していこうと思いますのでお付き合い頂けますと幸いです。 (2021年1月2日 11時) (レス) id: 3098e1ffea (このIDを非表示/違反報告)
ぱふぇ - すごく面白いです!童磨ってこんなに格好良かったんだ…!まじ最高☆更新待ってますね〜o(^-^)o (2020年10月5日 21時) (レス) id: 00337bf9fd (このIDを非表示/違反報告)
むるち(プロフ) - 抹茶さん» 返信遅くなり申し訳ありません。すごく嬉しいです!これからもどうぞよろしくお願いします! (2020年6月19日 22時) (レス) id: 3098e1ffea (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:むるち | 作成日時:2020年1月11日 23時

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