“青の監獄”に咲く一輪の花 ページ3
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──“青の監獄”には、一輪の可憐な花が咲いている。
彼女の名は胡桃沢A。ふわふわウェーブの掛かった栗色の髪に、丸く大きな瞳が特徴的な美少女である。
FWの有名所を集めたとは聞いたものの、稀に見るレベルの見事な“不細工”しかいない“青の監獄”にとって、そんな彼女はまさしく砂漠で見つけた一つのオアシスであった。
が、まあ勿論どの男達も、そんな彼女に話しかける勇気は無かった。
だってあんなにかわゆい女子に「不細工」とでも罵られたりしたら、もう一生立ち直れないからである。
だからこそ彼女は、“青の監獄”の絶対不可侵領域ことアイドルとして、裏で密かに神格化されていたのだ。
だが。
「………ね、大丈夫?」
その薄氷の上に乗った平穏は、他ならぬ少女自身の手によって壊された。
心配げに首を傾け、さらりと首元から柔らかそうな髪を流す彼女──胡桃沢A。
そんな可憐な少女に心配されたのは、Zチームの潔世一であった。
「……!?う、うえええ!!??胡桃沢さん!!?」
突然目の前に現れた、今まで会話すらしたことのないレベルの美少女に、潔は思わず顔を真っ赤にした。
“あの”胡桃沢Aが、どうして自分に!?と混乱の極地にいる潔は、周囲の男共が嫉妬からサッカーボールを握り潰したことにすら気が付かない。
(主に男達の嫉妬によって)冷え切った空気の中、少女はしゃがみ込んで潔の膝に目を向けた。
そこには見るも無惨な擦り傷が刻まれており、未だだくだくと赤い血を垂れ流している。試合中はアドレナリンドバドバだったため気が付かなかった傷も、それが引いた今では泣きそうなほどの痛みを発していた。
が、マァ“青の監獄”のマドンナの手前、そんな無様な姿は見せられない。
潔はぎゅっと唇を噛み締め、風が撫でるたびに痛む傷を堪えた。
が。
「ね、君さえよければ手当てしてあげよっか?」
「………え???」
なんてことないようにそう告げた彼女に、思わず惚けた声が飛びだす。
慌てて少女の顔を見てみれば、痛々しい傷跡を指差すAがニッコリかわゆく微笑んだ。
「私だってマネージャーだし、傷跡の保護っていうか、テーピングやらガーゼ貼りやらには自信あるよ」
むん!と腕まくりして眩いばかりに真っ白な腕を見せつけるA。エ、もしかしてそれって力こぶ??か、可愛い……!
先程まで潔を羨んで殺気を飛ばしていたZチームの全員が、その動作にはわわと頰を染めて口元を押さえた。
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まったり団子 - ウッウッ・・・最高だ・・・特に糸師兄弟が揃いも揃って盛大に勘違いしてるのが・・・これからも読ませてください!お願いします! (2月24日 20時) (レス) id: f793216af5 (このIDを非表示/違反報告)
みるく - 結葉さん» ありがとうございますーー!🥹これからも応援してくれたら嬉しいです (12月13日 22時) (レス) id: df78d63940 (このIDを非表示/違反報告)
みるく - あいらさん» 返信遅れて申し訳ないです😭冴はもうすぐ出てきたますので、是非お待ち下さい! (12月13日 22時) (レス) id: df78d63940 (このIDを非表示/違反報告)
結葉(プロフ) - 更新待ってます”!!!!!!!! (10月12日 10時) (レス) @page31 id: 119a923417 (このIDを非表示/違反報告)
あいら - このお話が大好きです!早くカイザーやネス、冴に会ってメロメロにしてほしいです! (10月12日 5時) (レス) @page32 id: 2148135a94 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:みずき | 作成日時:2023年1月29日 21時