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髪の毛いじらせて♡ ページ15


⭐︎



と、その時。


Aが何かに気づいたように顔を上げた。


「──あれ、千切くん、髪のゴム切れてるよ」

「え?………あ、ホントだ」


目線の先にはゴムが変な形に千切れ、長い赤髪がおかしな状態で乱れている千切豹馬の姿があった。

Aの言葉にパッと気づいたように髪に手を当てる豹馬。恐らくだが、Aに見惚れて髪ゴムが切れたことすら気が付かなかったのだろう。

Aに話しかけられて頰を染めている豹馬に、潔達の心に嫉妬の気持ちが湧き上がる。が、その感情はAの次の発言に吹き飛ばされた。



「あ、そうだ!私、前から長い髪の毛のアレンジ方法練習したかったんだけど……ね、千切くん。ちょっとだけ髪の毛いじらせてもらえないかな?」



「「「………は??」」」



きらきらした瞳で豹馬を見つめるAの発言に、無意識のうちに潔達の唇からひッッくい声が漏れた。
そしてAに尋ねられた豹馬はといえば、ぽかんとした表情で固まっていた。

そしてたっぷりの時間の後、「………え?」と小さく呟き、そして辺りをキョロキョロと見回し始める。
恐らく自分以外の“千切”を探しているのだろうが、あいにくそんな人物はいない。

潔達からすれば“千切”どころか立候補したいぐらいだったが、残念ながら男達の髪型はショートである。
潔は自らの黒髪を指先で摘んで泣いた。この世は……地獄です……とばかりに潔達の顔はしわしわ雷鼠もどきの顔になった。


「……ングフッ」


クシャッとした顔をしていれば、誰かが噴き出しそうなのを堪えるような、そんな声が耳に入る。
思わず顔を上げて周りを見回すも、誰も彼もが項垂れていて先程の声の主は分からない。

勿論その声を発したのはAであったが、彼女は潔が顔を上げた瞬間に表情筋をフル活用させたため、バレてはいなかった。



───マ、そういうわけで。


現在上機嫌なAに髪を結われている豹馬は、内心バックバクのまま必死に表情を保っていた。


「(憧れのマドンナが俺の髪をさわ、って……!?これは夢か、夢なのか!?)」


ジッと微動だにせずに涼しげな表情を浮かべている豹馬だが、もはや脳内は荒れ狂いぐちゃぐちゃだった。


「──わ、豹馬くんの髪、さらさらだね」


そして追撃かのように送られてくる、Aの甘く優しげな声。髪の毛を触られているというシチュエーションだけでも心臓が痛いくらい拍動しているのに、ちょっぴり羨ましそうなAの声が耳元で囁くのだ。

もはや豹馬の心臓は限界だった。後ついでに皆の殺気も限界だった。




⭐︎

豹馬の心情→←クッキー



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まったり団子 - ウッウッ・・・最高だ・・・特に糸師兄弟が揃いも揃って盛大に勘違いしてるのが・・・これからも読ませてください!お願いします! (2月24日 20時) (レス) id: f793216af5 (このIDを非表示/違反報告)
みるく - 結葉さん» ありがとうございますーー!🥹これからも応援してくれたら嬉しいです (12月13日 22時) (レス) id: df78d63940 (このIDを非表示/違反報告)
みるく - あいらさん» 返信遅れて申し訳ないです😭冴はもうすぐ出てきたますので、是非お待ち下さい! (12月13日 22時) (レス) id: df78d63940 (このIDを非表示/違反報告)
結葉(プロフ) - 更新待ってます”!!!!!!!! (10月12日 10時) (レス) @page31 id: 119a923417 (このIDを非表示/違反報告)
あいら - このお話が大好きです!早くカイザーやネス、冴に会ってメロメロにしてほしいです! (10月12日 5時) (レス) @page32 id: 2148135a94 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:みずき | 作成日時:2023年1月29日 21時

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