探偵達はカフェにいる【オリジナル】 (ページ20)

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アベラはラタトゥイユがお好きページ20

　野菜を美味しく食べられる料理といえば、バーニャカウダーとラタトゥイユだと思うんだよね。夏野菜の煮込みがマズいわけないしね。でも、本国フランスでは粗末な料理の代名詞的扱いなんだって。まあ、ここフランスじゃないから関係ないけど。

「アベラさん、ご注文は？」
「Aさん、ラタトゥイユをお願いします」
「分かりました、少しお待ちください」

　ラタトゥイユの材料はパプリカ、茄子、ズッキーニ、トマト、玉ねぎ、セロリ、にんにくの薄切り、白ワイン、ローリエ、塩に胡椒、コンソメ、オリーブオイル。野菜はカフェの後ろの畑で私が育てたもの、白ワインは「シャトー沢山」から仕入れたもの。ズッキーニといえば、この前来たお客さんのお子さん、ズッキーニを見て「おおきなきゅーり！」って言ってたな。実はきゅうりじゃなくて、かぼちゃの仲間なんだぞ。

　ズッキーニと茄子を三センチ幅の半月切り、セロリは八ミリ幅に切る。切った野菜をボウルに入れて、握力で粉砕したコンソメをまぶす。玉ねぎも二センチ角に切って、パプリカは乱切り。ちなみに皆さん、パプリカって好き？私は嫌い。青椒肉絲に入っているパプリカ以外は許せない性質なんだよね。美味しいパプリカ料理があったら教えてほしいなあ。

　フライパンにオリーブオイルを敷いて玉ねぎとにんにくを入れて油がまわるまで炒める。オリーブオイルも良いけれど、個人的にはごま油の方が好きなんだよね。オムレツや目玉焼きを作る時とか絶対に欠かせないし。最近のマイブームは冷凍焼き鳥を解凍して、卵の黄身を落としてごま油を回しかける料理。めちゃくちゃ美味しいよ、カフェのマスターとしてはいけない料理な気もするけれど。

　さて、良い感じに炒め終わったら、ズッキーニ、なす、セロリを加えてしんなりするまで丁寧に炒める。はいここでパプリカどーん！さらに炒めよう。トマトをぐちゃと潰して入れて、白ワインとローリエも入れよう。汁気が足りなければお水を入れてね。二十分くらいたったら蓋を取って、軽く混ぜる。塩と胡椒で味を調えたら完成！

　うんうん、上出来上出来！あとは綺麗なお皿に盛りつけようね。最近は自分でお皿を作ってみたいとも思うんだよね。前に友人に相談したら「どこ目指してんのお前」って言われたけど気にしないのよ。

「お待たせしました、ラタトゥイユです」
「ありがとうございます、Aさん！」

　時間をかけて作ったラタトゥイユ、どうやら美味しかったみたいで、アベラさんは嬉しそうな顔をした。笑顔を見れるんだからこの仕事もやりがいがあるってもんだよ！