琴子に当店自慢のほうじ茶を ページ12
彼女は、ある意味では一番普通の女の子だ。探偵10人の中では一番普通。けれども周りが濃すぎるのであって、決して彼女は"普通"ではないと思う。
「こんにちはAさん」
「いらっしゃいませ、琴子さん」
彼女は
でも彼女は"普通"じゃない。彼女は、知識の偏った"天才"だ。どこかスカーレットさんに通じるところもあるが、彼女が全く勉強ができないのに対し、彼女は勉強が得意──ただし、自分の得意教科だけ。「そんなの普通じゃね?」と思う人もいるだろうが違う。彼女は先述の通り"知識が偏っている"つまり自分の得意分野に対する知識は、そこら辺の論文著者よりもあるというのに……苦手教科は小学生レベルでも危ういそうだ。君はホームズみたいな人間だな、と初めてそれを知った時に思ったのはここだけの話。
彼女もまた探偵だ。ただし、彼女は常連10人の中では最も殺人事件を解決していない。彼女は主に学校で起きる様々な小さな事件を解決するんだそうだ。同じ探偵タイプのレイモンさんでさえ割と殺人事件を解決しているというのに、彼女はそれより少ないなんて珍しいよなあ……あれ、待って私感覚麻痺していない? 殺人事件を解決するって滅多にない事だよね? やっだ毒されている!! あの探偵達に毒されている!! ……まあそれは置いといて。
ちなみに彼女は、あの飲造さんの従兄弟姪だそうだ。日本語喋れないのにどうやって会話しているのか尋ねてみたところ、なんと彼女はフランス語を喋れて、しかも英語まで堪能だと判明した。凄い、日本生まれ日本育ちでトリリンガルなんて! ただでさえ日本語って難しいのに!
「今日は何にしますか?」
「当店自慢のほうじ茶をください!」
そういえば、普通じゃなかった点はまだあった。彼女はその小さくて、ゆるふわとした見た目に反してコンクリートをも砕く怪力の持ち主、おまけにとんでもない大食いだ。しかも好む食べ物が皆渋い。女子高生がカフェで頼むのってタピオカとかじゃないの? 暖かいほうじ茶って、うちは蕎麦屋じゃないんだよ? これじゃあ渋いマスターじゃなくて、頑固一徹な蕎麦屋の店長だよ。
「お待たせしました、ほうじ茶です」
「ありがとうございます!」
湯呑みで出したほうじ茶を飲んで嬉しそうにしている表情は、紛れもなく普通の女の子だ。なんでか少し嬉しい気がする。
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ルツ・ヒューイット(プロフ) - ぼうきれ/新藤緋色さん» ふおお!待ってました(*゚∀゚*)!ありがとうございます! (12月25日 7時) (レス) id: d8efa9f421 (このIDを非表示/違反報告)
ぼうきれ/新藤緋色(プロフ) - ルツ・ヒューイットさん» リクエストありがとうございました! ちょっとご希望のものとは違うかもしれませんが……書きました! (12月25日 6時) (レス) id: 43757b42ed (このIDを非表示/違反報告)
ルツ・ヒューイット(プロフ) - ぼうきれ/新藤緋色さん» おおお(*゚∀゚*)!心からお待ちしております! (12月6日 17時) (レス) id: d8efa9f421 (このIDを非表示/違反報告)
ぼうきれ/新藤緋色(プロフ) - ルツ・ヒューイットさん» リクエストありがとうございます!! アイディアが思い着き次第書きます!! (12月6日 17時) (レス) id: 43757b42ed (このIDを非表示/違反報告)
ルツ・ヒューイット(プロフ) - 新藤緋色様!私からのリクエスト(わがまま)をここに書きます。もうすぐクリスマスなので、探偵キャラ(単独及び複数人でも構いません)とクリスマスパーティーをする回が読みたいです...! (12月6日 15時) (レス) id: d8efa9f421 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:新藤緋色 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/homepageofSHS/
作成日時:2020年12月12日 22時