秋3# 役割と応答 ページ5
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Aは座りもせずベンチの前に佇んでいた。無機質な瞳で選手たちの様子を観察している。
彼女は何者なのか。帝国について知るためにも、新聞部の一年生音無春奈はそうっと彼女に近づいた。
「すみません、ちょっとお話いいですか?」
「どうぞ」
間を開けず答えられた。
断られるかと思ったのだが。音無は高鳴る胸を押さえつつ、メモとペンを握りしめた。もしかしたら、ここ七年連絡も取れなかった兄のことが分かるかも知れない。
「お名前をお聞きしても?」
「はい。春夏冬と書いて、アキナシ。
アキナシ。珍しい苗字ごと書き留める。
「Aさんから見て、帝国の強みとはなんでしょう?」
「圧倒的なスピードとパワー、全体的にバランスが取れているところでしょうか。個々の能力値が高い……突き詰めるところ練習量と、チーム全員の意思統一でしょうね。アイコンタクト一つ、パスの一本で、相手の考えが分かってしまうチームですから」
「なるほど。……キャプテンの鬼道有人については」
「有人様は非常に優れた司令塔だと思われます。テクニックも圧倒的──失礼致します」
唐突に言葉を切り、Aはボールの飛び交うグラウンドへ入って行った。危ない、と思ったが彼女にボールは当たらない。
帝国メンバーがあのハードなウォーミングアップ中にもAの存在を認識し当たらないように気遣っているのか、はたまた彼女のほうがボールを避けて進んでいるのか。
一人の選手に近づいて二、三話し、彼が頷くと一礼して戻ってきた。
途端、彼の足元に飛んできたボールは彼の右足に勢いを完全に殺された。先程まで、前方に弾いていたプレイヤーだ。
「応答中に、失礼致しました。普段と重心が八ミリ変わっていて、ボールを受ける音が少し異なっておりましたので」
「はあ……」
「有人様の能力でしたね。ドリブルもシュート力も頭一つ抜けていますが、強いて言うならば思考力といったところでしょうか」
「……ありがとう、ございます。その、Aさんって、マネージャーなんですか……?」
彼女は首を振って見せる。
「私は
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杳覇(プロフ) - に近い感じかな……? 私の作品の中ではかなり短くまとまると思うんで、暇なときに覗いてくれると嬉しいです! 更新がんばるね〜〜!! (2021年10月8日 12時) (レス) id: 7468c0248e (このIDを非表示/違反報告)
杳覇(プロフ) - 初見朧さん» 初見朧ありがとう〜〜!! バチくそに頭良い子なので私に書き切れるかどうかは賭けです🙂 選手に指示を出してゲームを組み立てていく司令塔よりはマネジメントに近い役割だけど、そういう認識でも大丈夫です! フィールドメイキングするスタッフ (2021年10月8日 12時) (レス) id: 7468c0248e (このIDを非表示/違反報告)
初見朧(プロフ) - あっどちらかと言うと日常の練習での司令塔という感じっぽいね(↓設定までしか読んでなかった) (2021年10月8日 11時) (レス) @page6 id: 2897e279c0 (このIDを非表示/違反報告)
初見朧(プロフ) - 遅れました!!わー作ってから一週間経ってるー(棒読み)頭良さげな子だね!(語彙力はテストで溶けました)選手じゃないっぽい?司令塔の補佐みたいな感じかな?楽しみにしてるね!頑張って!! (2021年10月8日 11時) (レス) @page2 id: 2897e279c0 (このIDを非表示/違反報告)
杳覇(プロフ) - 白雪林檎さん» コメントありがとうございます✨ わ〜〜昔から読んで下さってるんですね! めっちゃ嬉しいです…!! ありがとうございます☺️💓 お褒めのお言葉も光栄です✨ 更新頑張ります!! (2021年10月7日 6時) (レス) id: 1cd5a8a31d (このIDを非表示/違反報告)
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