未来を駆ける天空の巫女

69話　若い風 ページ33

「くっ……！！」

「何なの、この力は……！！」

「これがアルティメットサンダー……！？」



あまりの威力に、目も開けていられない。


耐え抜こうとしていた白鷺。

しかし、そのパワーは計り知れず。



「「きゃあぁぁ！！」」

『！ みんなっ……』



Aは思わず声を上げてしまった。


アルティメットサンダーの真の姿であるサザンクロス、そしてその進化形であるプレイアデスを幾度となく経験してきた彼女らが、屈するなんて。

そして、はたと気付く。



相手は雷門。


イナズマイレブン。



アルティメットサンダーは、最早、彼らの必殺タクティクスなのだと。



そして、ゴール前のディフェンスを吹っ飛ばしたボールを追う、革命(かぜ)の使者。


支配したはずの天空を自由に駆け抜ける、若(あお)い風。



「はああああ！！」

『……そんなっ』



負けるつもりなど、微塵もなかった。



「マッハウィンド!!!!」

『……白鷺っ……』



一縷の祈りは届くことなく。


強力なシュートは柳瀬の必殺技を突き破り、ゴールした。



そして、同時に試合終了のホイッスルが鳴り響いた。



『……』



Aは黙ってスコアボードを見上げる。


3-4。雷門の勝利だ。



ベンチから、試合に出られなかった選手たちのすすり泣く声が聞こえる。

Aは暫くそうして黙っていたが、やがて、



微笑んだ。


とてもとても、晴れやかな表情で。



.



「やったあああ！！」



一方、雷門イレブンは飛び上がって喜んだ。


激闘に次ぐ激闘。フェアなプレーの応酬。

それを制して、長年の勝負にケリをつけたのは、他でもない、自分たちなのだ。



彼らの様子を嬉しそうに見守る円堂たち。


三人の表情もまた晴れやかで、ホッとしたような、ひどく清々しい顔をしていた。

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