【ky】君のヒーローになりたくて【T.O.P.4】

26.秘密の約束 ページ27

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……いや、闇の中っていうかこれは………


目が覚めただけ、か。



目を閉じているせいで周りが真っ暗に見えるだけ。

その証に今度はAとキヨくんの声がはっきりと近くから聞こえてくる



『で、今キヨさんはお薬じゃなくてお喋りでみんなを笑顔にしてるんですね』



途中からだからなんの話をしているのかわかんないけど、

ちょっとこの状態だと簡単に「起きたで〜！」なんて言えない。



「！…A、」



恋愛映画のワンシーンみたいに、キヨくんがAの名を呼ぶ。

あれ、これってもしかして？



『はい』





「…好き、だったよ…大好きだった…」




レト「……」




ドクン、と心臓がなる

もしかしなくてもこれは、告白と言うやつか？

しかも、キヨくんとAが出会ったのはいつだったっけ。


確か5年前。Aが俺に『好きな人が出来た』と告げたのも5年前。


嫌でも全てを察してしまう



『…私も、好きでした。キヨさんのこと。

あの時伝えられてればよかったですね』



……そういうことやったんや。



「…うん、伝えとけばよかった…

両想いだったんだな…」



まぁ、過去形だし。

俺の方が長いことAといるし。


あれ、そういえば俺感染者に噛まれてなかったっけ？

A達が介抱してくれたんかな。


だって俺今ベッドで寝てるもんな


キヨくんが運んでくれたのかも……



なんてさ。

一生懸命他のこと考えようとしたって無理だった。



ツラいに決まってる。



レト「っ…」



思わず泣き声が漏れた


バカ、気づくな。



『あ──


レトくん、目覚めたかな？』


キヨ「レトさーん、感染してんじゃねぇぞー！」



レト「してないわ！…っ、」



さっきの空気がなかったように明るいわ声色を出す2人。


気遣われてるみたいでなんかイヤ。


ワガママな俺はもっとイヤ。



キヨ「泣くなって、レトさん薬飲んだしもう大丈夫だよきっと」


『痛かったよね…レトくん、守ってくれてありがとう…』


レト「ん、大丈夫…2人ともありがとうな」


キヨ「俺は運んだだけ！ほぼAさんが1人で草取ってきて調合して

…レトさんに飲ませて、ってしてくれたからさ」


レト「そうやったんや、ありがとうA


もうお母さんみたいな立派な薬剤師さんやな」


『…うん！レトくん元気そうだし、調合成功してよかった』



よかったな、A

いなくなったお母さんの代わりに薬剤師になるって言う夢が叶って。


…ほんまよかった。



Aを死なせることなく、守ることが出来て────


約束、守れてます。Aのお母さん。



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