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女の子よりも愛らしい声。
それに一瞬頭が真っ白になって、同時に「私より手、大きいんだ。意外」とどうでもいいことをぼんやり思った。


「………、あれっ創くん!まだ帰ってなかったんだねぇ」
「そんなことより、お姉ちゃんに謝ってください」


しまった。逃げなければ。
紫之創みたいな人間に嫌われると後々面倒なことになる!そう叫ぶ自分と、お互いを守るように身を固めた愛らしい子達を冷ややかな目で見つめる自分がいた。


きれいなつるぎでころされた。ちはながれてはくれなかった。


「毒嶌さん」


こんなにもいたくてつらいのに、あなたのてはきれいなまま。


「毒嶌ちゃん……?」
「………さい、」
「え?」
「うるさい!この労働階級!!」
「ろ、労働階級!?」


創とあんずは巨大な目を瞬かせて、それぞれ一瞬考えてから顔を見合わせる。「労働階級……?」
この調子だからどんなトンデモ悪口が飛び出すかと思えば、そりゃ我々は労働階級ですけどそれが何かという話。しかしAは思いっきりこちらを睨みつけてから踵を返す。


「紫之に、薬宮に、私の何がわかんのよ……!」









「何なんだよ、あいつ」


顔をあげれば、呆れ顔の彼が立っていた。
まだ帰っていなかったのか。そう問えば、彼は先生に呼び出されていたのだと答えながらあんずが落とした書類を拾ってくれた。

見つめているだけで夜が明けてしまいそうなほどの絶世の美貌。
その眉間にはハッキリ皺が刻まれていて、つまりこれ以上ないほど不機嫌そうな表情だったのである。

あんずの前で彼がここまで顰めた顔をするのは滅多にないことで、あんずはちょっと驚いた。正確に言うと、「美形ってどれだけ顔歪めても美形なんだ……」が4割、「この子ってこんな怖い顔するんだ……」が6割。


そう、怖い顔であったのだ。
王子さまが悪い魔女を前にしていいような顔では決してない。愛しいひとを蹂躙され凌辱されその末に殺されてしまったような、人を呪い殺す真っ黒な顔。

創とあんずの不安げな様子に気づいてか、彼はゆるりと口角を上げて言った。


「あんなやつ、ほっとけばいいよ」
「でも、」
「いいから」


珍しく有無を言わさぬ口調にふたりはまた顔を見合わせる。
Aの後ろ姿はもう見えなくなっていた。

よごれたつるぎのはなし→←・



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紅鮭(プロフ) - あやめさん» コメントありがとうございます!夢主を大好きと言っていただきとっても嬉しいです!趣味が合いますね🎶 星5取り次第更新再開しますので、どうか気長にお待ちください! (2月27日 21時) (レス) id: cc18d6b067 (このIDを非表示/違反報告)
あやめ - いつも楽しく読ませてもらってます!毒嶌ちゃんみたいな女の子大好きです!ママの感謝祭、応援してます!続きも楽しみに待ってます✨ (2月27日 19時) (レス) id: 5659e626b3 (このIDを非表示/違反報告)
紅鮭(プロフ) - koryiさん» 嬉しすぎるコメントにお気に入り登録までありがとうございますー!!これからもkoryiさんに面白いと思っていただけるように頑張ります🎀🤍 (2月17日 0時) (レス) id: cc18d6b067 (このIDを非表示/違反報告)
koryi(プロフ) - あの!すっごい面白いのでお気に入り登録させていただきました!これからも更新楽しみにしてます! (2月16日 20時) (レス) id: 183499ceb2 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:紅鮭 | 作者ホームページ:なし  
作成日時:2025年12月30日 0時

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