鱗のつばさ (ページ48)

今日:38 hit、昨日:0 hit、合計:156,925 hit

story47 ページ48

.

手渡された黒いカーディガンを着ると、腰に手を回された。

下にすとんと落ちたスカートを後ろからつままれて、前に手が回ってくる。

腰に細いベルトを巻かれている。

膝下丈のドレスは膝上まではしょりあげられた。

「はい、これでどうですか？」

「いやあ天才だな？」

「ふふ、でしょう？」

黒いハイヒールを履いて目の前でひとつ回って見せた。

ぱちぱちと拍手が返ってくる。

他の人にはこんなアドバイスしないのに、やっぱり彼は優しいな。

「あと三十分で始まります。食べ終わったら行きましょうか」

「はぁい、設営会場は見たの？」

「ええ見ましたよ。昨年同様かなりの賑わいで」

「そっかそっか、ならかなりの集客も見込めそうだね」

最後の一切れを口に放り込み、首にネックレスをかける。

もう一度鏡の前で身なりを確認すれば完成。

部屋の鍵をかけてそのままの足で寮の鏡を潜った。

エスコートされながら会場の裏口に向かう。

この格好で下手に正面入り口から入ると人に囲まれたりなんやりがあって面倒だ。

.