鱗のつばさ (ページ33)

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「心配しなくてもリドルくんには言わないよ。そこまで性格悪くないし」

「なんか……先輩ってほんとにオクタヴィネルなんですか？」

「まあ僕は変なことすると歌手人生に傷がつくので……」

ちらと横を見るとアズールは監督生と話している。

まだ長くなりそうだし、別に切り上げなくてもいいか。

「ではここに先程すりつぶした薬草を入れます。最後に本物の薬になるように魔法をかけます、ペン先に力を込めて一点に力が集中するようにして……」

教科書に赤文字で書かれている呪文を唱えれば完成だ。

くるりとマジカルペンを振るとぽん、と音を立てて試験管の中身の色が変わった。

「おお！」

「はい完成、簡単だろ？」

「ありがとうございます！」

「助かりました！」

「うんうん、リドルくんに首輪つけられなくて済みそうだね」

青と赤の頭を見ながら笑う。

早めに戻って今度の舞踏会用の薬を作らなきゃ。

体を一時的に別の物に変える薬。

すでに変身薬を飲んでいても使える上書き薬。

「じゃあレポート頑張ってね、アズール帰るよ」

「ええ、それでは失礼します」

一年生に手を振って魔法薬学室を出た。

どうせならあそこでついでに渡そうと思っていたけれど、人がいるなら仕方ない。

何の話をしていたんですか？

と聞けばどうやら舞踏会に興味があるようですよ、と笑われた。

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