気づいたら死亡率95%の漫画の世界だった【名探偵コナン】

＊そんな死に方ってある？？ ページ5

江戸川コナンとの邂逅を果たしてからというものの、私の事件遭遇率は格段に上がった。今じゃ一週間に一回は必ず事件現場に居合わせてコナンくんと顔を合わせているし、推理ショーも目の当たりにしている。何回か容疑者になりかけ、彼に救ってもらっていた。


「で、今回は人質かあー」
「うるせえぞクソ、黙ってろ」
「なっ……誰がクソだって！？ イケメンって言ってくれないかな！？」
「なに言ってんだコイツ」


逃走用の自動車には、私の他にも三人乗っている。因みに私は拳銃を突きつけられています。
今回に関しては、実はコナンくんはノータッチで勝手に私が事件に巻き込まれていた。銀行に金おろしに行ったらこれだよ。手慣れているのか、人質を無理に傷つけずに連れて行く方法を選んだ。人質はバンバン傷つけてくスタイルだぜ！！ ってやるより、お前らがこっちに来なけりゃ人質に傷一つつけねえぜっていう方が警察としてはやり辛いだろう。人質は大切に扱うからこそ意味があるって漫画に書いてあった。


そんなわけで、今現在私は高速道路を犯人達と共に滑走している。
拳銃を突きつけている人は、少し大人しくなった私を見て満足そうに笑った。


「安心しろよ、お前が変な行動さえしなけりゃ殺しは――」


チュンッ、と鋭い音が聞こえた途端、車体が大きく揺れた。運転をしていた男が、ハンドルに突っ伏している。


「何やってんだお前！！ 起き――」


続けて二回、同じ音が聞こえたかと思うと残り二人も座席へと凭れた。その額からは赤黒い何かが流れている。


「えっ、は、……ちょちょちょ！？ えっどうすんのこれ！！！」


ハンドルがうまい具合に固定されているらしく、車自体は真っ直ぐ進んでいる。しかしスピードはどんどんと上がるばかりで、このままではきっと、というか確実に私は死んでしまう。


「どどどどうしようどうしようどうしよおおおお！！！ 死にだぐないよお〜〜〜！！！」


えっ死ぬの！！？ 物語と全く関係ない事件に巻き込まれて！！？ そんな嫌な死に方絶対にいやなんですけどオオ！！！
半狂乱になりながら泣いていると、車の窓からコンコンというノック音が聞こえてくる。驚きで涙が止まった。バイクに乗った女性が、車に並走しているのだ。この人なんか見たことある……
その女性は器用に片手で車のドアを開くと、親指をクイッと自分の後方へと傾けた。


「Hey,cutie! C'mon!」
「え！？ キューピー！！？」


絶対違う。
　
　
　

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