気づいたら死亡率95%の漫画の世界だった【名探偵コナン】

＊バかわいい ページ4

あの人、顔ばっか褒められて嫌なのかな、そう思ったのは彼女がふとした瞬間に切ない表情を浮かべるからだ。
ひときわ目を引く顔立ちに高い背丈、長い足。確かにスタイルや顔面は完璧だが、皆が皆「顔が」「スタイルが」かっこいい、としか言わない。


俺がサッカー部で世話になっていた、OBでよく練習を見に来ていた元マネージャーの杉原先輩も、演技力や勇敢さではなく外見を褒めそやしていた。
彼女が時折見せる表情は、まるで何かに耐えてかねているかのように切ない。それがまたアンニュイな雰囲気を漂わせている。


全く持って初対面だが、少しだけ哀れに感じた。


「コナンくん、なんか浮かない顔してるけど……どうした？」


少し離れたところで蘭と園子と会話をする三浦さんを見つめていると、それに気づいた杉原先輩がしゃがみ込んで俺の目線に合わせ、話しかけてきた。


「……あのお姉さん、なんか辛そうな顔してるから……皆がお姉さんの行動よりも外見ばっかり褒めるから、嫌なのかなって……」


子供らしさを努めながら、控えめにそう言ってみる。ああ、と顔を上げた杉原先輩は、苦笑を浮かべていた。


「三浦くん、中学の時さ、あまりにかっこよすぎるから男子から嫌われてて、結構嫌がらせとかされてたらしいんだ」
「……？ うん」
「で、三浦くん、途中でキレて怒鳴っちゃったんだって。なんて言ったと思う？」
「え！？ えーと」
「“ここにいる男全員、私に顔の良さで勝てる奴いる！！？ いないでしょ、私がかっこいいのは公然の事実なんだから文句なら神にでも言え！！！”」
「え゛」
「ま、そんなこと言ったら当然引かれるよね。それ以降はあんまりちやほやされなくなっちゃったから寂しかったみたい。今は女子でも男子でもかっこいいかっこいいって言ってくれるから幸せらしいよ」
「つ、つまり、超絶ナルシストだけど口で自分をかっこいいと認めたら引かれるから、辛そうに我慢してるの……？」
「うん」


ちょ、超絶やべえヤローと出会ってしまった……とここへ来たことを後悔しかけた。あんま蘭を近づけたくねぇな……と思うが、本人らは楽しそうに話している。


「だから三浦くんにとって“顔かっこいい”は最上級の褒め言葉なんだよ。俺の相棒、単純でバカっぽくてかわいいよね〜〜」
「言いたいことはわかったけど、お兄さんも大概な性格してない……？」


へへ、と笑う先輩の本性を垣間見た気がした。
　
　
　

＊そんな死に方ってある？？→←＊外見は完璧

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