*初めまして世界 ページ1
東京の女子大に合格し、群馬から米花町へ引っ越してきた。実家から通えないこともなかったが、一人暮らしがしてみたかったのでこうして一人東京へとやって来た次第だ。知人に紹介してもらった事故物件だかなんだかの激安な1LDKもそろそろ片付いて来た頃だ。――米花町。前は、そんなところは東京になかったんだけどなあ。
前世の記憶を持っていることは、誰にも言ったことがない。それを話したところで私にメリットはないし、今更どうしようもないことだからだ。何より自分の姿は前世のままだし、今の父と母も大切な家族だと思っている。未練がないと言えば嘘になるが、こちらでもそれ相応に人生を謳歌している。
しかし、ここは前の日本ではありえないような事が常識だった。眠りの小五郎という探偵や、東の高校生探偵、西の高校生探偵……あまりにも探偵が多い。日本での事件発生率は、前に比べると格段に多いと思う。そう、多いとは思うのだが……
(探偵、探偵……なんかそんな話、前に誰かとしてたような……)
まあいっか、と途中で考えることを放棄し、それから一年は何事もなく平和に過ごしていた。
そして現在、大学二年生。
「お兄さん、はいこれ! 落としたよ!」
眼鏡をかけた、少しばかり育ちの良さそうな恰好をした少年がにこにこしながら私が落とした携帯をこちらに差し出している。
こ、この少年、見覚えあるぞ……?
「僕、ありがとう」
「! お姉さんか、かっこいいから間違えちゃった。どういたしまして!」
大丈夫、イケメンだねって男と間違えられるのは日常茶飯だから。……じゃなくて、やっぱこの子、江戸川コナンだよね……?
『名探偵コナン』の主人公の。
手を振って別れを告げて、歩きだす。どうにか公園のベンチまで辿り着くと、へなへなと力が抜けてしまい、座り込んだ。女子高生が私を見て「かっこいい」とはしゃいでいた。ありがとう元気でる……
「…………つまり、ここは『名探偵コナン』の世界ってことでファイナルアンサーだよね」
間違いなくファイナルアンサー。何年この世界にいると思っているのだ。
高校生探偵だか毛利探偵だかがいて、あの危険な黒い人達もいて……
――過去、コナン好きの友人はこう言っていた。
『マジコナンの世界って死亡率95%だよね〜!(適当)』
95%……残り5%に、果たして私は食い込めるのだろうか……??
「…………ウン、まあ何とかなるよね!!」
何とかなれ。
1031人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「名探偵コナン」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
織叶(プロフ) - ナチュラルな感じのナルシストっぽさがすごく好きです…!更新が楽しみです!! (2021年1月27日 19時) (レス) id: bc2d105faa (このIDを非表示/違反報告)
志織(プロフ) - みさん» コメントありがとうございます!正直、自分では全く書いたことのないタイプのキャラクターなので、お気に召して頂けたのならとても嬉しいです! (2020年4月1日 21時) (レス) id: de7effe731 (このIDを非表示/違反報告)
み - 褒められて照れる主人公がすごく可愛いです!!めちゃくちゃ面白いです!!! (2020年3月30日 17時) (レス) id: 2992cbf307 (このIDを非表示/違反報告)
志織(プロフ) - さちさん» コメントありがとうございます!面白いと言っていただけて嬉しいです。予定も立て込んでいますので出来る範囲での更新となりますが、お付き合いいただけたら幸いです……! (2019年8月7日 16時) (レス) id: f90efcc153 (このIDを非表示/違反報告)
さち - すごくおもしろいです。続きが早く読みたいです。よろしくお願いします。 (2019年8月6日 13時) (レス) id: 02606fd336 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:志織 | 作成日時:2019年6月17日 12時