7話「安ピンは×」 ページ7
遠く離れた従兄とは割と頻繁に連絡を取る。東京と宮城、離れ離れではあるけれど大きな休み毎に遊びに行くくらいには仲がいい。家ぐるみで付き合いがあるので、一年たりとも疎遠になることはなかった。
『――んで? 男バレはどうよ』
「ん、強いよ、うちのチーム。主将が宮城でトップクラスのセッターで」
『だってよ研磨』
電話越しに「なんで俺に話ふるの」、とうんざりしたような声が聞こえる。従兄の鉄朗とその幼馴染の研磨。研磨はとても人見知りだけど、昔からの付き合いだから仲良くしてもらってる。私は特別ゲームが得意なわけではないけれど、たまに彼と通信をしたりもする。
「あのね鉄朗」
『なーに』
「友達、できたよ」
電話の向こうで息を呑む音が聞こえた。
『そうか……――よかったな』
鉄朗がどこまで知っているのか私にはわからないけれど、その声はどこまでも優しいものだった。ピアスをあけたいと、最初に相談したのも鉄朗だ。安ピンは使うなよ、自分でやるならピアッサーにしろよと優しく教えてくれた。
「ん。研磨は? 元気?」
『おー元気元気。いつも夜遅くまでゲームやってるよ』
『授業中寝てるから大丈夫』
「駄目じゃん」
そんな会話を続けていると、『そういえば、』と鉄朗が言葉を切る。
「え? 何?」
『そっちにさあ、烏野って高校ある?』
「あるけど、なんで知ってるの?」
『うちの高校のインネンの相手なんだと』
「来週練習試合やるよ、烏野と」
『マジ!?』
鉄朗の弾んだ声に思わず肩を跳ねさせる。いきなり大きな声を出すのはやめてほしいけれど、昔からなのでもう言及するほどでもない。
その後しばらくはバレーの話で持ちきりだった。私がバレー部に入ったのは鉄朗の影響だと言い切れる。私は中学時代部活なんて入っていなかったけれど、マネージャーをやろうと思ったのは、音駒バレー部での鉄朗の頑張りを知っているから。それを支えられたらと、そう思ったからだ。
8話「例えが下手くそ過ぎるので出直してこい」→←6話「ごめんの2乗」
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志織(プロフ) - ヒトさん» ホリミヤいいですよね!ハイキューを全面に押し出しつつ、ホリミヤ成分もそこはかとなく入れ込みたいと思います(笑)コメントありがとうございました! (2019年12月4日 21時) (レス) id: de7effe731 (このIDを非表示/違反報告)
ヒト - ホリミヤネタ最高です。 (2019年12月2日 21時) (レス) id: 3761af80f9 (このIDを非表示/違反報告)
志織(プロフ) - 八重さん» コメントありがとうございます!ヒロインなら私も金田一かなと思いますが、国見は何となく自己主張強そうなのでああいう感じです(笑)私はギャグセンスがないのでは?と思っていたので、面白かったと言っていただけて何よりです! (2019年8月7日 16時) (レス) id: f90efcc153 (このIDを非表示/違反報告)
八重(プロフ) - 面白すぎてずっと笑ってたら姉に(・∀・)<ウルセェェェェエエって言われましたどうしてくれるんですか?(謎) (2019年7月27日 13時) (レス) id: 9f24637045 (このIDを非表示/違反報告)
八重(プロフ) - いやぁー私思うんすけど、やっぱりヒロインは国見じゃなくて金田一だと思うんですよぉー(笑) (2019年7月27日 13時) (レス) id: 9f24637045 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:志織 | 作成日時:2018年4月7日 10時