29話「影でどんなふうに呼ばれているかなんてわからないもんだ」 ページ29
最近、明るくなった。マネージャーでありながらどこか部員とは一線を引いていた、堀田が。
それは、コーチという立場としてとても嬉しく思う。まあマネジだからといって過度に仲良くなる必要なんてないし、青城のバレー部に来るくらいだから友達を作ろうとして入部したわけでもないだろう――及川目当てなら、マネジじゃなくて普通に観戦に来ると思う――から、気にかけつつも放っておいた。ここは高校生の国なのだから、三十過ぎたオッサンが介入すべきじゃない。
そうは思いつつ、自分が見ている生徒とだけあって気になるのは常だろう。親心にも似た思いに、もっとアイツらと仲良くなんねーかなー、アイツらもっと気にかけてくんねーかなーなんて思っていた。ので、非常に喜ばしいことだ。
「あの」
「うおっ！ ……なんだ堀田か」
噂をすればなんとやら。思考途中にいきなり声をかけられて驚いてしまった。なんていうか、今のは凄い影の薄さだった。流石に失礼なので、口には絶対に出さないが。
「スポドリの粉が切れそうで」
「おお、マジかよ。後で金渡すから、今立て替えられるか？」
「はい」
「レシートちゃんともらってこいよ、部費から出すから」
「はい。ありがとうございます、溝口くん」
思わず目を剥いた。まさかこの子にまで溝口くん呼びされるなんて。俺の態度に「しまった！」というような表情を浮かべた堀田は、慌てて頭を下げた。
「す、すみません、及川さん達が言ってたもので、耳が慣れてしまって…！」
「あー、別にいいよ。おら、とっとと買ってこい」
そう言ってぐしゃぐしゃと髪の毛を掻き混ぜた。なんだか年の離れた妹と重なるようで、どこかむず痒い。元気よく……とはいかないが、はっきりとした声で返事をした彼女は外へと駆けていった。入れ替わりで体育館にやって来た監督が、「マネージャーが入ってくれて本当に良かったねえ」と満足げに呟いたのを聞いて、俺は頷いたのだった。
「(やば、影でこっそり溝口くん呼びしてんのバレるところだった……監督のことも伸照って言ってるの、バレてない……よね？)」
30話「伴侶って何だっけ？」→←28話「俺らのサポーター取られたわ」
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志織(プロフ) - ヒトさん» ホリミヤいいですよね！ハイキューを全面に押し出しつつ、ホリミヤ成分もそこはかとなく入れ込みたいと思います（笑）コメントありがとうございました！ (2019年12月4日 21時) (
レス) id: de7effe731 (このIDを非表示/違反報告)
ヒト - ホリミヤネタ最高です。 (2019年12月2日 21時) (レス) id: 3761af80f9 (このIDを非表示/違反報告)
志織(プロフ) - 八重さん» コメントありがとうございます！ヒロインなら私も金田一かなと思いますが、国見は何となく自己主張強そうなのでああいう感じです（笑）私はギャグセンスがないのでは？と思っていたので、面白かったと言っていただけて何よりです！ (2019年8月7日 16時) (レス) id: f90efcc153 (このIDを非表示/違反報告)
八重(プロフ) - 面白すぎてずっと笑ってたら姉に(･∀･)<ｳﾙｾｪェェェエエって言われましたどうしてくれるんですか？(謎) (2019年7月27日 13時) (レス) id: 9f24637045 (このIDを非表示/違反報告)
八重(プロフ) - いやぁー私思うんすけど、やっぱりヒロインは国見じゃなくて金田一だと思うんですよぉー(笑) (2019年7月27日 13時) (レス) id: 9f24637045 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：志織
| 作成日時：2018年4月7日 10時
