26話「素直に複雑」 ページ26
「………ボ、」
「ボ?」
「ボディペイントです……ニ週間くらいで消える……」
「本当だな? 信用するぞ?」
「嘘です!!!」
「素直か」
はあ、とため息をはいた岩泉さんは、「誰にも言わねえから安心しろ」と肩を竦めた。
「お、怒ってないんですか…?」
「まあ部活に支障出されちゃ困るとは思ってる。けど、もうやっちまったことはしゃあねえだろ。その代わり、誰にもバレないようにしろ。絶対だぞ」
「大変申し上げにくいんですが、金田一にはバレました」
「このどんくさ!!!」
「もごふ!!」
ガッと頬を片手で掴まれる。そのまま食堂まで連れて行かれたので、花巻さんから「何かの儀式?」と訝しげな視線を頂戴したのだった。
︙
ボールを床に打ち付ける音が響き始めた頃、開け放たれた体育館の扉から赤い集団が見えた。遠いので顔までは見えないが、たぶん鉄朗達だろう。あ、ドリンク用意しなきゃ。マネージャー一人だとこの人数分の仕事を回せないため、他のベンチ入りしていない一年と協力してやっているのだ。ただ、マネージャーである私が仕事をしてなきゃ世話ない。
「あ、千冬ちゃんお疲れさま」
「ありがとうございます。あ、及川さん、さっき赤い集団見えたんで音駒来ますよ。私はドリンク用意してきます」
「あ、ほんと? わかった、千冬ちゃんも頑張ってね」
「はい。応援してます、皆さんのこと」
「ん、いっちょ勝ってきてやるから!」
ニカッと満面の笑みを浮かべた及川さんは、ぐるぐると肩を回した。果たして研磨擁する音駒にそう簡単に勝てるのか、と思いながら、それでもやっぱりうちのチームも強いからなあと唸り声をあげる。どっちにも勝ってほしいような……でもマネージャーの欲目としてちょっと青城の方が多く勝ってほしいような……複雑な気持ちだ。
でもまあ、単純に音駒のメンツと再会できるのが嬉しくもある。見たこともない地味な格好の私を見て、彼らは一体なんと言うだろうか。驚く顔を想像して、ちょっぴり笑ってしまった。まあ、たぶん鉄朗は笑うのだろうけど。
27話「トサカにプリンに、音駒ヤベエな(松川談)」→←25話「鬼」
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志織(プロフ) - ヒトさん» ホリミヤいいですよね!ハイキューを全面に押し出しつつ、ホリミヤ成分もそこはかとなく入れ込みたいと思います(笑)コメントありがとうございました! (2019年12月4日 21時) (レス) id: de7effe731 (このIDを非表示/違反報告)
ヒト - ホリミヤネタ最高です。 (2019年12月2日 21時) (レス) id: 3761af80f9 (このIDを非表示/違反報告)
志織(プロフ) - 八重さん» コメントありがとうございます!ヒロインなら私も金田一かなと思いますが、国見は何となく自己主張強そうなのでああいう感じです(笑)私はギャグセンスがないのでは?と思っていたので、面白かったと言っていただけて何よりです! (2019年8月7日 16時) (レス) id: f90efcc153 (このIDを非表示/違反報告)
八重(プロフ) - 面白すぎてずっと笑ってたら姉に(・∀・)<ウルセェェェェエエって言われましたどうしてくれるんですか?(謎) (2019年7月27日 13時) (レス) id: 9f24637045 (このIDを非表示/違反報告)
八重(プロフ) - いやぁー私思うんすけど、やっぱりヒロインは国見じゃなくて金田一だと思うんですよぉー(笑) (2019年7月27日 13時) (レス) id: 9f24637045 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:志織 | 作成日時:2018年4月7日 10時